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DFとして闘莉王を超えるゴールも……。
吉田麻也、ブルガリア戦後の落胆。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/06/06 11:15
2失点に「まだまだ甘い」と吉田。「大勝した後の試合の方がアプローチが難しい」とボスニア・ヘルツェゴビナ代表との試合への意気込みを語った。
代表で点が取れている2つの理由。
「ここ最近、代表で点が取れている理由は、2つあると思います。1つは、対戦相手のレベル」
確かに、ハリル体制下で吉田がゴールを決めた試合の対戦相手は、カンボジア、アフガニスタン、シンガポール、そして今回のブルガリア。
ロシアW杯アジア2次予選で戦った3チームはいずれも格下で、今回のブルガリアは欧州の中堅国とはいえ、コンディションが悪く、モチベーションが低かったのは明らかだった。クロスに対して最終ラインがバラバラになり、ファーサイドが空くことは事前のスカウティングで認識しており、吉田にとっては「決めて当然」のゴールとも言える。
「吉田をチョイスしたい」と思ってもらうために。
「もう1つの理由は、僕がクラブで試合に出ていないこと。代表というのは、クラブで結果を出している選手が選ばれて試合に出るものだと、僕自身も思っています。でも現実として、僕はサウサンプトンでレギュラーを奪えていません。それでも、代表に選んでもらっている。この状況でも監督や周囲に『吉田をチョイスしたい』と思ってもらうには、やっぱり目に見える結果を出さないといけない。最もわかりやすい結果が、自分でゴールを決めることだと思うんです。だから今は、もちろん守備を最重視した上で、積極的にゴールを狙っています」
この日の2ゴールで、国際Aマッチの通算記録でも64試合出場9得点とし、田中マルクス闘莉王の得点数(43試合8得点)を抜いた。日本代表DF歴代最多得点数を誇る中澤佑二(110試合17得点)とも遜色のないペースでゴールを積み重ねている。数字だけを見れば、日本サッカー史に名を残す偉大な先輩たちに肩を並べつつあるように思えるが、本人は硬い表情のまま否定した。
「中澤さんは17ゴール。まだまだ先は長いです。それに、数字上はそうかもしれないけど、偉大な選手になるかどうかは、何を成し遂げたかによって決まると思っています。僕が目標としているのも、日本代表というチームで何かを成し遂げること。最もわかりやすいのは、W杯で勝つことです。やっぱり中澤さんやトゥーさん(闘莉王)のような選手は、南アフリカW杯で勝っている。僕はまだW杯で勝っていない。とにかく今は、ロシアW杯で勝つことだけを目指しています」