野球のぼせもんBACK NUMBER
実は王貞治も評価した逸材だった。
ホークス城所龍磨が打撃で開眼!
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/05/25 07:00
5月18日の日本ハム戦、7回に代打で打席に入った城所は、実に9年ぶりの本塁打となる3ランを放った。試合後には「やってもうた」のコメントも。
3年前、筋力強化するも故障に苦しめられた。
ただ、城所だっていつまでもスーパーサブに甘んじているつもりはなかった。レギュラー奪取のためには、打たなければ話にならない。そのための努力はしてきた。
「今までどおりにやってもダメ。思いきって『変わる』ことが必要だと思った」
3年前にはジムに通い詰めて筋肉ムキムキの身体を手に入れた。だが、結果はついてこなかった。それどころか、昨年は一軍出場わずか1試合に終わった。度重なる大きな故障に苦しめられたためだ。
まずは2月、オープン戦の最初の試合で左腕に死球を食らい骨折。春先には出遅れた焦りもあって右ふくらはぎを痛めた。必死にリハビリに耐え、二軍で地道に結果を残し、8月にやっと一軍昇格。その合流最初の試合で、今度は三盗を試みた際に左肩を亜脱臼。手術を受けた。
「次のシーズンの契約はあるのか……。オフを迎えるまでは不安でした」
なんとか500万減の1900万円で契約にこぎつけた。
西岡との自主トレで訪れた転機。
今年1月、毎年恒例となっている西岡剛(タイガース)らとの自主トレ。それが大きな転機となった。
「西岡さんのトレーナーの方に言われたんです。『城所くんはスピードを生かしたプレースタイルだ。筋肥大になったボディビルダーみたいな体は違うと思う。トレーニングを見つめなおそう』と」
パワーを追い求めて体を大きくしたが、それは城所にマッチしたものではなかった。
「ボク自身のバランスを崩していたのかもしれない。それが怪我に繋がったのではないか。トレーニングは体を強くするほかに、怪我の予防のため。なのにトレーニングを頑張って怪我をしたら意味がないですからね」