2016年の高橋由伸BACK NUMBER
「男」を捨てて「さん」を選んだ!?
巨人・村田修一にG馬場の面影を見る。
posted2016/05/17 11:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Hideki Sugiyama
ペナントレースの何が面白いって、開幕前の予想がひっくり返されることである。チーム順位もそうだが、個人も。
2016年、高橋由伸監督が初めて臨む公式戦の「開幕三塁」は岡本和真のはずだった。今年20歳になる若者(2014年ドラフト1位)がチームを変える。球団、ファン、マスコミによる三者合意。
昨年に理由がある。
貧打に泣いた巨人、大砲不足に泣いた巨人、若手野手の伸び悩みに泣いた巨人――こんな泣きっ面の巨人にさらに野球賭博問題というハチが刺した。痛いのは自業自得。
こんなとき、どこかに空気を変えてくれる岡本和真はいないか。貧打を解消してくれる岡本和真はいないか。大砲不足や若手スター不足を解消してくれる岡本和真はいないか。
いたのである。
去年までその役は大田泰示が担っていたけど、7年間待ちくたびれた人びとは2年目の岡本に目を向けた。2016年のチームスローガン「一新」とは、ほぼ「岡本和真」と同義なのである。
開幕前の高まる期待を一新背負った岡本和真。
スポーツ報知の1面見出しをみてみよう。
「ついて来い岡本!! 鬼主将 坂本始動」(1月7日)
「由伸 理想の4番 松井後継 岡本」(2月26日)
期待の大きさがわかる。オープン戦後半になっても「岡本 開幕三塁 生え抜き元木以来13年ぶり」(3月14日)と大きな文字が躍る。
野球が恋しくなる1月~3月は、ファンがスポーツ新聞に求めるものといえば情報のほかに「ワクワク」である。だから岡本推しは間違っていない。みんな毎朝未来に期待して紙面をひらくのだから。
だが肝心の岡本がオープン戦でなかなか打てない。「開幕三塁」「一新」のはずなのに。
「とにかく経験を積ませるべき。不振でもじっとこらえて起用してほしい」と思う一方で、「この成績で岡本だけ特別扱いはどうなのだろう」。葛藤するファン。