球道雑記BACK NUMBER
春のフォーム改造がようやく実に?
西勇輝、開幕3連敗からの復活劇。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/25 12:00
昨季は侍ジャパンでも活躍し、2年連続2桁勝利の記録を残している西なのだが……。
昨年も5月以降、徐々に調子を上げていった。
今年2月の春季キャンプ中に、西とゆっくり話をする機会があった。4月中旬に発売された「ベースボールサミット第9回 オリックス・バファローズ特集号」(カンゼン刊)のインタビューだった。
その中で西は、今年は自身の勝ち星に執着しない、自分に勝ちがつかなくても結果としてチームに勝利がつけば、自分はそれでいいと話していた。
されど、いくら勝ち星に執着しないとは言っても、昨年も似たような形で開幕から約1カ月半も勝ち星から見放された西である。
「今年こそは……」と期するものがあった中で、開幕から3試合で勝ち星なし。今年も内心は焦ってやしないか少し心配になった。
「3戦目(福岡ソフトバンク戦)は、勝ちを獲りにいったというより、自分のピッチングがそれまでできていなかったのと、自分が投げた試合で2ケタ失点が2試合も続いていたので、この流れをなんとか変えたいという想いの方が強かったです」
昨年も5月10日の初白星以降、徐々に調子を上げて行った西。今年も昨年の再現となるのだろうか。
「腕を内から出す」
今年の西は自分の投球について、一つテーマを置いている。
「腕を内から出す」
春季キャンプ中のある日、投球練習から上がってきた西に声をかけると、彼は言葉少なにそう話した。
後日、さらなる説明を求めようと彼に声をかけると、彼はこう答えた。
「投球フォームの割れ(体の開き)の部分なんですけど、投げていくときの横の時間をできるだけ長くできればいいのかなと考えています。早く開いてしまうと、打者に正対する時間が長くなってしまうし、そうなると粘りもできない。そこをなるべく横向きのまま長くして、キャッチャーに向かって行く姿勢を作っていきたいなって考えているんです」
簡単に言ってしまえば投球フォームにタメを作る意識だ。相手打者のタイミングをこれまで以上に崩せれば、直球をより速く感じさせ、変化球で相手の軸を崩すこともできる。