球道雑記BACK NUMBER
春のフォーム改造がようやく実に?
西勇輝、開幕3連敗からの復活劇。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/25 12:00
昨季は侍ジャパンでも活躍し、2年連続2桁勝利の記録を残している西なのだが……。
「ピープルズエース」の道を。
今年の春季キャンプのときも同じような場面に出くわした。
午前中の練習を終え、クラブハウスへ向かおうと歩を進めていると、サインを望むファンが彼の練習が終わるのを待っていたことに気がついた。
「今ちょっとやることがあるので、少し待っていてもらってもいいですか」と、先頭の女性ファンに声をかけると、それから数分後、その約束を守るように、その場へ戻って列の最後が切れるまで彼はサインに応じていた。こうした行為はなかなかできるものではない。
前述のインタビューの中で、結果の割に高くない彼の知名度に関して語り合うことがあった。
そこで、私はあえて「今のままで良いと思う」と彼に伝えた。
2015年パ・リーグ防御率2位、侍ジャパンの常連、オリックスを代表するエース格……。スター選手として十分すぎる実績をここまで残している彼ではあるが、高飛車な態度は似合わないし、気さくにファンに対応している姿が、彼の良さのようにも感じるからだ。
アメリカのスポーツ界(特に格闘技界)に「ピープルズチャンピオン」という言葉がある。「ファンに支持されているチャンピオン」として、この言葉が使われるようになったのだが、ボクシング界ならマニー・パッキャオが、プロレス界ならザ・ロックがそう称されている。西には「ピープルズチャンピオン」ならぬ「ピープルズエース」の道をぜひ歩んでもらいたい。
ファンと共に歩み、ファンにもっとも支持されたエースとして、球団史に残るような存在に。
その最初の第一歩は当然、リーグ最下位からの巻き返し。その中心となることだ。