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春のフォーム改造がようやく実に?
西勇輝、開幕3連敗からの復活劇。
posted2016/04/25 12:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
4月24日の朝、その日の予告先発となっていたオリックス・西勇輝の数字関係を確認しようとパ・リーグ投手成績に目をやると、そこに彼の名前はなかった。
昨年、クオリティスタート率83.3%、防御率2.38で、最優秀防御率のタイトルを北海道日本ハム・大谷翔平と争った“あの”西勇輝が、である。
開幕してまもないこの時期の規定投球回数なんて、到達しては消え、また到達しては消える、そういうものであることは百も承知の上だが、これにはちょっと驚いた。
確かに2016年の西は、スタートが良くなかった。良くないどころか、彼に対する期待値から考えれば最低で、最悪に近い始まりだったと言えるかもしれない。
生命線のスライダーが決まらない日々。
今年最初の登板となった3月29日の北海道日本ハム戦は、5回を投げて11安打8失点。初回から走者を溜め、あっさり相手打線に2点を献上した西は、真っ直ぐがシュート回転し、変化球が高めに甘く入るなど精彩を欠いた。
ホームグラウンドの京セラドーム大阪に戻った4月5日の東北楽天戦でも状況は好転せずに3回0/3と4回表にワンアウトも獲れずに7安打6失点。さらに5日後の福岡ソフトバンク戦は、自ら志願して中4日で先発のマウンドに立ったが、5回1/3で6失点。勝ち星どころか序盤で大量失点し、ゲームさえ作れない日々が続いた。
開幕からここまでコンビを組み続けているキャッチャーの山崎勝己はこう振り返る。
「昨年あれだけの成績を残したピッチャーですし、直球、カーブ、シュート、スライダー、チェンジアップと、どの球種でもレベルの高い球を投げられる投手だと思っています。ただ、僕のなかでは“スライダー投手”と思えるくらいスライダーを多く投げている印象が強い。それが最初の試合(北海道日本ハム戦)で、そのスライダーをいきなりやられてしまったので、そこから崩れてしまった」
西の生命線であるスライダーは4月10日の福岡ソフトバンク戦以降、徐々に低めに決まり出し、復調に向けて変化が見えだしている。それでもまだ西の本来の姿には物足りない、山崎はそう言いたげに見えた。