熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
連敗中だが、あえてメンタルを語る。
湘南・曹監督の日記に見える希望。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/04/13 15:00
連敗中でチーム全体が沈みがちだが……曹監督の精神的強さが周りを奮い立たせている。
勇気を持って攻め続けている限り、勝利は訪れる。
<試合結果>
4月10日(日)J1・1stステージ第6節
湘南1-3甲府
(@山梨中銀スタジアム)
5分、湘南はショートコーナーからのクロスを押し込まれ早々と先制されてしまう。甲府の守備ブロックを切り崩すべく攻勢を仕掛けると57分、相手のハンドにより得たPKをFW高山が冷静に決めて同点とする。追加点を狙って攻め続けるも甲府の堅固な守りに阻まれ、試合はアディショナルタイムに突入。するとカウンターから立て続けに2失点。湘南は6戦未勝利と苦しい状況に立たされた。
<試合を終えて>
――勝利から遠ざかっている現状をどう受け止めていますか。
「選手やスタッフのみならず、スポンサーの皆様、私財をはたいて応援に来てもらっているサポーターの皆様には申し訳なく、言葉が見つからない想いです。ただ、この敗戦を受けてもなお、ペナルティエリアに入ってチャンスを作り出す回数や、勇気を持って攻め続けようとした姿勢はデータ的にも進歩が見られている。そのデータ上の進歩や、やってきたことについてはポジティブに捉えないといけない」
――1つ勝てば、流れが変わるのかもしれません。
「実はあまりそう思っていなくて、どの試合も勝つことに向けて準備をしていくことで流れは変わっていくし、その準備の質を上げることでチームの状態は上向きになっていくと思っている。勝つために100%の準備をしなければならないとしたら、それを作り上げるのは間違いなく、選手と我々スタッフ。攻撃陣、守備陣、監督・スタッフという3つのグループが、勝つためにはみんなが等しく、いい意味で主体的に責任を取らなければいけない。100を3で割ったら33.333……となるけれども、この1%や0.1%を埋めるには日々の努力の質を上げていくしかない。ゴールライン上でボールを掻き出せるか否かは、そういう練習をすればできるようになるものではなく、1m、1cmへの日々のこだわりが出てくるのだと思う」
――次節は強豪・鹿島との一戦となります。
「前節で広島さんに勝ち、去年の湘南のキャプテンである永木(亮太)も所属する、スピーディーでリスペクトされるべきチーム。ただリスペクトが、びくびくするという言葉にすり替わらないよう、努力の質を上げていくことに目を向けて謙虚に準備していきたい。最近、『自信はなくても自分を信じることはできる』という言葉をよく使うのですが、選手も僕もそういう想いで戦わなければならないし、ホームに帰るので、良い試合にしたいと思っています」