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欧州CLは「真の4強」が残る可能性大。
ベスト8の4戦すべてが“格差マッチ”!
posted2016/03/23 10:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
AFLO
同じ協会のチームとは当たらないなど、組み合わせに制限のあった16強では逆に複数の強豪同士の潰し合いが実現したが、オープンドロー(制限なし)で決まったベスト8の対戦カードには、4つの強者が散らばった。
現在の欧州クラブフットボール界で真のエリートと呼べるのは、レアル・マドリー、バルセロナ、バイエルンで、そこに迫ろうとしているのがパリ・サンジェルマンだ。この4チームは今大会の総勝ち点でも上位を占めており(マドリー:22、バルサ:20、バイエルン:19、パリ:19)、UEFAが係数で定める今季のクラブランキングのトップ4でもある。
つまり'15-'16シーズンの準々決勝は、残った8つのうちのAクラスとBクラスの戦いとも表現できる。「この段階に弱いチームは残っていない」とバイエルンのロベルト・レバンドフスキはSNSで呟いたが、これは選手や監督のお決まりのフレーズであり、各カードのチーム間には大なり小なり実力差がある。それは順当にいけば、準決勝には文字通りの4強が残ることを意味し、至極のクライマックスの予感も漂う。ニュートラルなファンはアップセットを期待しているかもしれないが、果たして──。
バイエルン(ドイツ)対ベンフィカ(ポルトガル)
第1戦:4月5日、第2戦:4月13日
ユベントスとの激戦を制して勝ち上がったバイエルンは昨季同様、ベスト8の対戦相手にポルトガル勢を引いた。1年前はポルトにホームでのリターンレグで6-1の勝利を収めて逆転突破を果たしたが、アウェーでの第1戦は1-3と敗れている。この経験を忘れていないシャビ・アロンソは「(有利と見られているが)まだ何も決まっていない。相手をリスペクトすべきだ」と話し、主将のフィリップ・ラームも「ベンフィカは技術に優れ、ボール扱いが非常にうまい」と警戒した。
とはいえ、これまで6度の欧州での対戦成績はバイエルンの4勝2分け。大手ブックメーカーの勝ち抜け予想でも最少の1.10倍がつけられている。ラウンド16で総合力の高さをあらためて示したドイツ王者が、歴史的にも相性の良い敵を下して5シーズン連続の4強入りを決めると見るのが妥当だろう。
ゼニトに連勝したベンフィカは、カウンターに勝機を見出すことになりそうだ。実際、今季のバイエルンは逆襲に脆さを見せており、スキルフルかつスピーディーなベンフィカの若者たちに手を焼くかもしれない。ロウレンソ・コエーリョGMは「間違いなく厳しい戦いになるが、我々のアイデンティティーを示していきたい」と語り、MFエドゥアルド・サルビオは「団結すれば、僕らはどんなことでも成し遂げられる」と意気込んでいる。