熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
王者・広島に湘南はどう挑んだのか?
「対策」を綴った曹監督の日記公開!
posted2016/03/16 12:00
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph by
Shonan Bellmare
本連載では、湘南ベルマーレを率いる曹貴裁監督が、試合に臨むまでの過程を記した前週の日記と実際の試合結果を受けての胸中を同時に紹介。
悩み、考え、決断する監督のリアルな声を毎週お届けします!
今週のテーマは、ずばり「広島対策」です。
*本連載ではチョウ・キジェ監督の氏名表記方法につきまして、湘南ベルマーレとの協議により「曹貴裁」と統一いたします。
<第3節・広島戦前週の監督日記>
●3月8日(火)
今週最初のトレーニングはミーティングからスタート。
実は川崎戦の翌日、選手へは「スペクタクルで良いゲームだった」と伝えたのだが、オフを挟んで冷静に試合を見返してみると、自分たちの問題でやられてしまっているシーン、得点を取れていないシーンがたくさんあることに気づいた。
そういう経緯があって今日のミーティングを行ったわけだが、ある選手をかなり厳しく叱責した。それは、その選手が悪い選手だと言いたかったわけではなく、一人の集中力を欠いたプレーで、みんなで努力して積み上げてきたものが100から一気にゼロになる怖さがあること、それを改めて選手に理解してほしかったから。
選手に伝えたのは、虫歯に例えると神経を抜かなければならないような話ではないよ、と。しっかり歯磨きをすれば進行しない程度の問題なんだけど、放っておくと試合の結果に大きく影響を及ぼすからはっきり言う、という話をした。虫歯になる手前の状態でしっかり治療をし、健康にしていくというのがチームのあるべき姿。だから改めて、もう1歩、もう1センチ、自分たちの足元を見つめ直して全員でやっていこう、と伝えた。
●3月9日(水)
今日もミーティングを実施。選手は何回も聞いたら飽きるものなので、連日することは滅多にないがあえて行った。理由。それは去年のチャンピオンチームである広島にどう立ち向かっていくかを改めて整理することが一番大事だと思ったから。
目的は二つ。一つは昨日個人を叱責するようなミーティングをした後で、僕がもう切り替えて次に向かっているんだと選手に理解してもらいたかったこと。もう一つは広島戦に向けて、戦術的なことをある程度トライしながらやっていくということを自分なりに決めていて、それを直前に伝えるよりはちょっと早めに伝えた方が選手も心の準備ができること。それで映像を使って具体的にこうするよ、と話をした。
川崎戦に向かうスケジュールと、今週の試合に向かうスケジュール、練習の内容は当然違う。この練習をこのタイミングでやるというルーティーンは僕の中では絶対にありえない。チームは生き物であり、毎日毎日の状況は変化する。それを常に把握して練習をやりたい。こういうふうに毎日を自分なりに誠意を持って生きていくということが選手に伝わっていると思うし、毎日毎日何か自分でトライをする、ということを大事にしている。