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「もう少しわかりやすくなるべき」
アロンソも嘆くF1のルール変更。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2016/03/13 10:30
初開催となるアゼルバイジャンの首都バクーでの市街地レースについて語るアロンソ。レギュレーションの度重なる変更についての苦言も。
毎年のように変更されているF1のルール。
F1をエキサイティングにしようとする試み自体は、間違っていない。しかし、スポーティングレギュレーションという競技のルールは、できるだけ変更するべきではないと考える。
競技ルールの変更というのは、例えば、野球で3アウトでチェンジになるところを4アウトにするようなもの。サッカーなら、ヘディングは2点にしようという感じだろうか。ほかのスポーツでもルールはその時々で見直されているが、その多くは使用する道具に関する技術的な変更が多く、その競技のルールにこれほどまでに手をつけるスポーツはほかにはほとんどない。
ところが、F1は予選システムだけ見ても、2003年以降、毎年のように変更され続けてきた。現在のQ1~Q3システムが導入された後も、時間配分やタイヤの使い方に関するルールが何度か変更された。その結果、コアなファン以外には、予選方式が正確に理解されない状況を生んでしまった。例えば、現在のF1でポールポジションを獲得したドライバーが、スタート時に装着しなければならないタイヤを正確に答えられるファンはいったい何パーセントいるだろうか。
百歩譲って、この新方式に予選がさらにエキサイティングになる理論的な根拠があったとしても、その決定を開幕まで1カ月を切った3月に入ってから下すというのは、拙速だと批判されても仕方がない。
「導入するべきではない」という意見もあったが……。
もちろん、責任はFIAだけにあるのではない。この新予選を提案したのはF1ストラテジーグループとF1委員会であり、それらを構成しているのはF1チームのメンバーだからだ。だが、それでもFIAには、是を是とし非を非とする判断をしてほしかった。なぜなら、FIAは最終決定を下す直前に、テスト地のバルセロナでドライバーたちを臨時招集して、「導入するべきではない」という意見を少なからず聞いていたからである。決定が下されたのは、その2日後。いったい、あの招集はなんだったのか。