猛牛のささやきBACK NUMBER
「盗塁王」から逆算した技術の数々。
オリックス・小田裕也、小兵の生き方。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/02/26 12:00
サッカーボールでトスバッティングをする小田裕也。ルーキーイヤーの昨季は後半に一軍定着。31試合に出場し打率.326。更なる技術研究に余念がない。
小柄ゆえに技術を追求してきた。
もともと細かい技術を突き詰めることが好きなタイプだ。身長172cm、75kgと選手としては小柄な小田は、そうすることでここまで這い上がってきたとも言える。社会人時代に特にこだわったのは走塁技術だった。
「とにかく先の塁にいかに速く行くかというのをずっと考えてきました。できるだけ早くトップスピードに乗れるようなベースの回り方、踏み方ですね」
例えば、二塁から本塁を狙う時には、二塁と三塁を結ぶラインより後ろからスタートし、できるだけ膨らまずに直線的に本塁を狙う。ベースは右足で踏む。
「小さい頃は、『ベースは左足で踏め』という指導を受けた人が多いと思う。その理論はわかるんです。左足で踏んだ方が、体が内側に傾くので回りやすいし踏ん張りやすい。右足で踏むと、踏ん張りにくいから外に膨らんでロスができる。でも逆に、右足でも踏ん張ることができれば、直角にロスが少なく回れるんです」
生き残るための、もう一つの取り組み。
持ち前の俊足に加え、そうした走塁技術を磨いたことで評価され、プロ入りへとつながった。そんな小田が、今年もう一つ取り組んでいるのが打撃の新技だ。
「ドライブを打つ練習をしています。内野と外野の間に、早く打球が落ちるように。昨年までは飛ばしたい気持ちがありましたが、今年はその逆で、間に落とすバッティングをしたい。普通はボールの下側をたたくんですが、そうじゃなくバットの芯とボールの中心をぶつけることで回転がなくなり、ドライブがかかってショートの頭を越えて落ちる、というイメージです」
こちらも1月から取り組み始め、キャンプでも地道に継続してきた。
「まだ実戦の中でやるのは難しいと感じていますけど、ここはアウトコースに来るだろうなと予測できる時や、アンダースローの投手には特に心がけたいと思います」