濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
DEEP15周年大会で12年ぶりに激突!
桜井対岡見、“オーバー40”の再挑戦。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2016/01/20 10:40
左から和田、岡見、ミノワマン、事務局代表の佐伯繁氏、白井、桜井、大塚。ベテランの“凄み”が溢れる記者会見となった。
今年、旗揚げ15周年を迎えたMMAイベントDEEPが、2月27日の記念大会(後楽園ホール)で“勝負カード”を組んだ。その一つが、桜井隆多vs.岡見勇信である。
岡見が桜井と対戦するのは、2004年の『PRIDE武士道』以来。後楽園ホールでの試合も、同じく12年ぶりである。
2006年以降、彼はUFCを主戦場にし、ミドル級トップ戦線で闘ってきた。UFCでの戦績は13勝5敗、2011年にはアンデウソン・シウバのタイトルに挑戦してもいる。日本人としてUFCで最も結果を残した選手だ。
2014年からは、やはりアメリカのWSOFに参戦してきた。だが試合がなかなか組まれなかったため、WSOFとの話し合いの結果、契約を残したままでのDEEP参戦が決まったという。DEEPの佐伯繁代表は、これが岡見サイドから持ちかけられた話だったと明かした。
「だって、岡見選手はこっちから声をかけられるような選手じゃないですから、大物すぎて(苦笑)」
佐伯代表は記者会見で、岡見ほどの選手を後楽園で見られることの凄さを何度も強調した。確かに、岡見は我々にとって海の向こうでの試合をWOWOWやネット中継で見る対象だったのだ。そういう意味では有名外国人選手と同じだと言っていい。
「大事なのは過去より今」と岡野は前を向く。
ただし、岡見には自分が大物だという意識はない。本場アメリカのトップ戦線で活躍してきたという慢心もない。
「世界での経験があるからといって、それがない選手に勝てる保証があるわけじゃない。大事なのは過去より今です」
前回の試合から、彼は階級をウェルターに落としている。今の岡見は、新たな階級で勝ち星を積み重ねていくことしか考えていないのだ。後楽園で試合をすることになったのは「これも縁ですね」と言い「格闘家は試合をしてナンボですから」とも。34歳にして、岡見はチャレンジし続けている。
桜井も岡見との一戦に“生き残り”を賭ける。
桜井は、そんな岡見よりも10歳上。今年45歳になる元DEEPミドル級王者だ。キャッチフレーズは“ミスターDEEP”。長南亮をはじめとする強豪たちと常に激闘を展開し、ホームリングを盛り上げてきた。
桜井にとっては、この試合がウェルター級転向初戦。「新しい挑戦」に向け、桜井は「泥臭くてもいいから勝ちたい」と語っている。格闘家としてのゴールは、特に決めていないそうだ。
「何歳まで現役でとか、そういうのを決めちゃうとそれだけが目標になっちゃうので。いけるところまでいきたいですし、もちろん次で終わるかもしれないという気持ちもあります」
岡見も桜井も連敗中である。つまり桜井vs.岡見というカードの本質は“生き残り”だ。