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ロッテ高卒ドラ1・平沢大河の強心臓。
1年目からの活躍に必須な原点とは?
posted2016/01/10 10:40
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
早くから1位指名を表明していた楽天だけではなく、ロッテも仙台育英・平沢大河獲りに参戦し交渉権を獲得したのは、2015年ドラフトのちょっとしたサプライズだった。
同年夏の甲子園で3本塁打。チームを準優勝に導いた実力はさることながら、平沢はドラフト直後から「イケメン」と注目を浴びるようになった。
昨季から加入した新外国人、イ・デウンのグッズをオープン戦から販売していたロッテだけに、今回も“見た目”を有効活用する術には長けていた。1月3日の球団グッズショップの初売りに合わせて登場した、平沢と3位・成田翔、5位・原嵩の「高卒トリオ」のレプリカユニフォームとTシャツは完売。2月1日からは彼らのLINEスタンプの発売も決まっているようだ。平沢人気は今のところ衰える様子はない。
春季キャンプでの一軍スタートも内定し、今後も平沢の注目度は高まっていくだろう。しかし忘れてはいけないのが、彼が高卒ルーキーだということだ。
高卒野手1年目の新人王は清原、立浪までさかのぼる。
最近では、'14年に西武の森友哉が1年目から6本塁打をマークするなど華々しくデビューを飾った例もあるが、それは異例と認識したほうがいい。昨季、トリプルスリーを達成したヤクルトの山田哲人やDeNA不動の4番に成長を遂げた筒香嘉智、巨人のリーダー・坂本勇人ら、今は絶対的なレギュラーとして打棒を振るうかつてのドラフト1位たちでさえ、1年目は大半を二軍で過ごした経緯がある。高卒野手1年目の新人王も、セ・リーグは1988年の中日・立浪和義、パ・リーグでは1986年の西武・清原和博以来現れていないことを考えれば、ルーキーでいきなり結果を残すことがどれほど難しいことかが少しは理解できるはずだ。
昨夏の甲子園前までの平沢ならば、きっとドラフト1位には指名されなかったはずである。その時期耳にしていた東北担当スカウトの話を手繰り寄せれば、こんな評価だった。
「上位で指名されるでしょうけど、彼がプロでどんなバッターになるのかまだ想像がつかない。長打力はあるけどホームランバッターになるのかと言えばそうではないだろうし、小技や足を多用する1番タイプになるかと言われてもきっとならないでしょう」
そんな風評をよそに、平沢は甲子園で株を上げた。