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新エース誕生でユーベが完全復活。
テベスを手本に成長を続けるディバラ。
posted2015/12/18 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
王者の追撃がいよいよ始まった。
開幕後の低迷に苦しんでいたユベントスだが、10月末から怒涛の5連勝。15節終了時点で、CL出場圏の3位どころか、首位インテルの背中も勝ち点差6の射程距離に捉えた。
「スクデットは諦めない」
2-0で快勝した15節ラツィオ戦でも全得点に絡む活躍を見せたFWパウロ・ディバラは、澄んだ目に決意を込めた。リーグ戦での3アシストに、チームトップとなる7ゴール目を加えた彼は、昨季の大エースだったFWテベス(ボカ・ジュ二オルス)が15節までにマークした数字に追いついた。
ユベンティーノたちはもう疑わない。
“やつこそが、ユーベの新たなエースだ”。
序盤戦ではクラブ史上最悪の成績。
クリスマスを前にようやく挽回してきたユベントスだが、現在の好調を得るまでには、容赦ない批判と疑いの眼差しを嫌と言うほど浴びてきた。
シーズン序盤の惨状にアニェッリ会長は怒り心頭で、10月下旬の株主総会では「現在の14位という順位は到底容認できない」とチームを厳しく弾劾した。
開幕からのリーグ戦10試合で稼いだ勝ち点はわずか12。ここからスクデットを獲った例は過去にない。
勝ち点3制度がスタートした'94-'95年シーズン以降、クラブ史上最悪の成績に主将ブッフォンですら動揺した。
「正直、現状に狼狽している。主将として心が痛い。現実的に、スクデットのことなど話題にすらするべきじゃない」
サッスオーロに今季4敗目を喫した10節終了時点で、当時の首位ローマとの勝ち点差は最大の11にまで拡大。監督アッレグリはチームへ強制合宿を命じ、王者は追い詰められた。
地元トリノのファンやメディアは、4連覇王者の体たらくを猛烈に非難した。
とりわけ批判の矛先を向けられたのが、今夏の移籍市場で大枚4000万ユーロを投じて獲得されたFWディバラだった。