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アガシが語った錦織圭の長所と課題。
「ショットメークは史上最高の一人」
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/12/16 10:30
アガシは質問に的確に、そして多彩な返しで応えてくれた。その並外れた知性も、現役時代彼の武器の一つだった。
アガシがコーチになる可能性は?
――現役選手をコーチする機会があったら、指導したい選手はいますか。
「コーチしたいかどうかは、正しい指導を受けることでその選手がどれだけ伸びるか、最も向上させられるかというところにかかっています。ガエル・モンフィスやジョン・イスナーといった選手がそうした可能性を持った選手でしょう。意図を持ってプレーすることを教えれば、彼らにはよりチャンスが出てくると思います」
――米国ではジュニアにいい選手が出てきていますが、トップがあまり活躍していません。その状況をどう見ていますか。
「世界のあらゆる国々から最高の選手たちが出てきているので、(米国選手には)厳しい状況と言えます。草の根的に子どもたちを育成することが重要になります」
クレーコートでの育成がポイントになる。
――選手育成に貢献したいという思いは。
「そうしたいと思っているし、若い選手たちが成功するために、先行する世代が何かをもたらすことはできると思っています。USTA(全米テニス協会)の育成部門の責任者に(ジュニア時代に同門だった)マーティン・ブラックマンが就任し、色々なアイディアを打ち出しています。彼らが状況を変えられると信じていますし、私も何か貢献できればと思っています」
――米国の現状を心配していませんか。
「心配という言葉は強すぎますね。成績には波があるものですからね。ただ、草の根の育成を推進しなくてはいけないとは思います。また、以前はハードコートでジミー・コナーズ、ジョン・マッケンロー、マイケル・チャンやジム・クーリエといった選手が育ちましたが、今はまったく違う形での育成が必要とされています。トップスピンを使い、長いポイントをものにしていくテニスを身につけさせるために、球足の遅いクレーコートで育成を行うことが大きな成果につながると見ています」