サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ロシアW杯まであと2年半――。
日本の歩みを韓国と比べてみると。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/11/20 16:00
東アジアカップ(2015年)での日韓戦の風景。中国の武漢で開かれたこの試合は、1-1の引分けとなった。
韓国代表チームが好調な、具体的な理由とは?
好調の理由は明確だ。
チーム内の“自由競争”。
シュティーリケはこれまで韓国代表に存在してきた「欧州組」「国内組」の壁を取り払った。コンディションのいい選手を起用する、という方針を徹底している。
例えば、11月12日のミャンマー戦には、欧州組を呼び戻しているにも関わらず、Kリーグで中位の城南のFWファン・ウィジョを躊躇なく先発出場させた。負傷明けでもあったソン・フンミン(トッテナム=イングランド)はそのファンと交代投入される63分までベンチに座っていた。
自由競争のためには、当然のことながら監督自身の「丹念な選手視察」が欠かせない。9月にはシュティーリケが2部リーグの試合が行われる蚕室オリンピックスタジアムに視察に訪れる姿が報じられ、韓国での評価をさらに高めた。
こういった試みを続けながら、「ポゼッションを高めつつ、高い守備ラインを保つサッカー」「規律の範囲内で、選手が創造性を発揮するサッカー」(筆者自身が取材した8月の東アジアカップ優勝後)を完成させようとしている。秋口からは「チームの骨格は固まりつつあるが、引き続き攻撃の選手は探していきたい」とも口にしている。
“自由競争”という点は、実は韓国サッカー界とすれば「ようやくかゆいところに手が届いた」ということでもあるのだ。
過去の監督の多くが「偏った選手選出」について問題視されてきた。ヒディンク登場以前は旧態然とした「地縁・学閥主義」、近年では2010年ワールドカップ後のチョ・グァンレの「海外組偏重」、ホン・ミョンボの「自分がユース代表時代から目にかけた選手」といった風に。
韓国の現代表監督の地位は安定している。
先のワールドカップ予選後、2015年の代表スケジュールが終わった後も、「Kリーグのプレーオフを視察」というニュースが報じられた。また19日には韓国の複数ネット媒体が「シュティーリケの映った2016年の大韓サッカー協会のカレンダーが印刷されている」とのニュースが出た。それほどに状況が安定している、ということだ。
ちなみに、2015年は16勝3分1敗だった韓国に対し、日本代表の通算成績は11勝5分1敗だった。