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神宮大会、高校&大学を一気展望。
プロ指名選手に、“松坂2世”も!?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/11/12 10:40
巨人にドラフト1位で指名された桜井俊貴は、即戦力と言われる150km右腕だ。
早稲田は完成された攻撃パターンが武器。
愛知大の中川は育成ドラフトでの指名だが、今秋のリーグ戦では2位に1.27差をつける防御率1.48でチームの2位進出に貢献し、神宮大会出場をかけた試合ではリーグ1位の中京大を2安打、完封に抑えている。伊勢工時代の'11年夏の甲子園大会では釜田佳直(楽天)と8回途中まで屈指の投手戦を演じ、とくにスライダーとカーブのコンビネーションには目をみはるものがあった。
中川を迎えうつ早稲田大は重信、河原右京が俊足を絡めてチャンスメークをし、茂木、丸子で還す攻撃パターンが出来上がっているのが強みだ。大竹耕太郎、小島和哉、竹内諒の左腕トリオに吉野和也、北濱竣介の右技巧派が揃った投手陣にもスキがない。春、秋のリーグ戦、さらに大学選手権、明治神宮大会を制覇すれば、'08年の東洋大以来の「四冠制覇」という快挙になり、その可能性はかなり高いと思う。
東北福祉大対立命館大はドラフト1位と2位の対決になる。桜井は大学選手権までは投球フォームのきれいな本格派、というイメージが強く、打者を圧倒する力強さを感じなかった。それが秋にストレートが150キロの大台に乗り、与四死球率1.76でわかるように安定感も出てきた。
打撃10傑に4人が入る亜細亜大。
東北福祉大の佐藤は力の抜けたスリークォーターから投げる最速151キロのストレートとスライダーにキレ味があるが、今秋の与四死球率5.08でわかるようにコントロールに安定感がないのが不安要素。
この勝者を迎えうつ亜細亜大の打線は強力だ。リーグ戦の打撃10傑に1位法兼駿、4位藤岡裕大、10位遠藤雅洋、板山の4人が顔を揃え、ここに北村祥治、桝澤怜、正随優弥が加わった打線の破壊力と機動力は早稲田大と互角。
この両校にひけを取らないのが東海大で、中川、吉田のドラフト組に来年の上位候補・丸山泰資が加わる投手陣は力強さでは早稲田大、亜細亜大の上を行くと言っても過言ではない。この3校を中心に優勝争いが展開され、伏兵は立命館大と東北福祉大の勝者というのが私の予想だ。