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暴露本には沈黙、ニュースは発信。
ウッズは今、何をしているのか。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2015/11/08 10:30
子供を招いてのゴルフ教室で笑顔を見せたタイガー・ウッズ。表舞台を去るにはまだまだ早い。
ウイリアムスはキャディで大金を稼いだ。
米メディアの多くが、この一件をすぐさま報じ、追加報道が毎日のように出続けているのだが、どちらかと言えば、暴露されたウッズより、暴露したウイリアムスを批判する記事のほうが増えつつある。
たとえば「タイガー・ウッズのキャディをしていたおかげで、ウイリアムスはどんなに少なく見積もっても8~9ミリオン以上、稼がせてもらったはず。それだけの大金がもらえるなら、ボスが投げたクラブを拾いにいくその仕事に喜んで就きたいと手を挙げる人は大勢いるはずだ」といった内容だ。
沈黙を貫くウッズに頑張って欲しくなる。
ウッズの黄金時代には、キャディのウイリアムスより多く稼いでいる選手は、賞金ランクのトップ5ぐらいだけだと言われたほどで、ウイリアムスが「タイガーのキャディ」として栄華をきわめた時期は確かにあった。金銭的な話のみならず、ウッズのプレーに支障をきたしそうになったカメラマンやギャラリーのカメラを取り上げたり、池に投げ捨てたりと、ウイリアムスにも「驚かされる」行動は山ほどあった。それでいて一方的にウッズの暴露本を出したのだから、そんなウイリアムスへの風当たりが強まるのは頷ける。
暴露本といえば、2009年の交通事故に端を発したウッズのあの不倫騒動の直後、当時のウッズのスイングコーチだったハンク・ヘイニーもウッズと決別し、暴露本を出した。
ちなみにウッズ側は、どちらの暴露本に対しても沈黙を貫いている。
ある時期ともに歩み、ともに輝いた日々と思い出がありながら、一方的に出版された暴露本。その内容を世間の人々が信じるとは思えない。ましてや「奴隷」なんて言葉を使ったウイリアムスに同情する人がいるのだろうか。
いや、ウイリアムスが世間からどう見られるかは、この際どうでもいいのだが、彼の言動、彼が暴露本に書いた内容が、ゴルフに夢を抱く人々や子供たちの心を傷つけることが一番やりきれない。憂さ晴らしや腹いせなら、別の場所で個人的にやってくれと言いたい。
元キャディのそんな言動に比べたら、成績が下がろうとも、戦線離脱を繰り返そうとも、暴露本には応酬もせず、前向きに我が存在をアピールし続けるウッズが可愛らしくさえ見える。
かつての王者よ、まだまだ頑張れ。そう言いたくなる。