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暴露本には沈黙、ニュースは発信。
ウッズは今、何をしているのか。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2015/11/08 10:30
子供を招いてのゴルフ教室で笑顔を見せたタイガー・ウッズ。表舞台を去るにはまだまだ早い。
ウッズサイドから出てくるゴルフ以外のネタ。
当初は「復帰は来年早々」と言われていた。だが10月末にさらなる追加手術を受け、自らの財団が主宰する12月のヒーロー・ワールドチャレンジも出場は絶望的。今なお復帰の目途は立っていない。
このままでは世間からタイガー・ウッズの存在が忘れられてしまう。そんな危機感を彼のマネジメントチームが抱いても不思議はない。そのせいか、ウッズが戦線離脱してからというもの、このごろはウッズがチャリティ・オークションでシューズを高額でセリ落としたとか、「人種差別を語るウッズ少年」なんて昔の映像が出てきたから公開するとか、不自然に感じられるほど、ウッズのゴルフ以外のネタが出回っている。
成績が落ちても、戦線離脱していても、「タイガー・イズ・タイガー」を維持するために、ウッズ周辺の人々は話題づくりに必死の様子だ。
長年のキャディが出した暴露本の内容は……。
そうやってウッズ側が話題を出し続けていた真っ只中で、出てきてほしくは無かったであろうものが飛び出し、米ゴルフ界は騒然となった。
ウッズの長年のキャディだったスティーブ・ウイリアムスが、かつてのボスに関する暴露本をオンラインで出版。その内容は、読んでいて嫌気がさすようなものばかりだ。
「タイガーの短気や激昂はすでに知られていたことだが、パットが入らずイライラしたとき、タイガーはカップの中に唾を吐き捨て、私は大いに驚かされた」等々。
そして、ウッズは「意図的にクラブを放り投げ、私に拾わせていた。まるで奴隷のようだった」とまで書いている。
キャディが元の雇い主である選手のあれこれを暴露するという言動は、プロゴルフ界、プロキャディ界においては最もタブーとされている。そりゃそうだろう。なんでも暴露する人間を相棒キャディにしたら、選手は警戒心を抱き続けなければいけなくなり、プレーに集中などできようはずがない。
ウイリアムスは現在はアダム・スコットのキャディではあるが、それも昨季半ばにフルタイムからパートタイムに切り替えており、すでに半引退のような身。それゆえ、もう選手やキャディ仲間からどう思われようと構わないという開き直りから、この暴露本を出したのだろうが、後味の悪さたるやこの上ない。