プロレスのじかんBACK NUMBER
全日本プロの全遺伝子を継ぐ男。
丸藤正道がノア復興にかける覚悟。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/11/03 10:50
ノア再興をかけたグローバル・リーグ戦で懸命に戦う丸藤。11月8日には運命の優勝決定戦が待つ。
“ジャイアント馬場最後の弟子”という称号の由来。
基礎は完全にできあがっていたので、練習についていけないなんてこともない。つまり、キングダムに続いて全日本プロレスも一発合格だった。
“ジャイアント馬場最後の弟子”と呼ばれる。馬場さんが存命中、最後にデビューしたのが丸藤だったからだ。
時代に間に合った。
馬場さんからはさまざまなプロレスの薫陶を受けた。
まず、練習生の頃にレスリングシューズを履いて練習をしていたら、「おまえは何をしにここ(プロレスの世界)にきたんだ?」と怒られた。そして黒革のプロレスのリングシューズを買い与えてくれた。
巡業中の試合前に行なわれる合同練習では、馬場さんはいつもリングサイド1列目で目を光らせ、ふとした細かいアドバイスをくれる。
丸藤にいまも色濃く残る“全日本出身レスラー”感は、ジャイアント馬場に触れていることが大きい。
三沢、川田、小橋、小川、秋山らのDNAが。
付き人をやらせてもらった三沢光晴からもあらゆる影響を受け、川田利明からはプロレスラーとしての怖さ、小橋建太に道場における練習に対する姿勢、プロレスの細かい技術については小川良成、秋山準にそれぞれ学んだ。田上明からは……あまりよく思い出せない。
つまり、ジャイアント馬場、四天王プロレスの全盛期の空気を、丸藤は肌で知っている。プロレスラーになってから一度も後悔をしたことがないのは、そういった偉大な先輩たちにプロレスを教わり、影響を受けたから。
だから、自分のパフォーマンスに自信を持ち、プロレスにプライドを持っていないと失礼にあたるからと考えている。