プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本シリーズは“パ式”対決だった。
力負けのヤクルトが選ぶべき道は?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/10/30 18:20
新人監督対決で敗れた真中満監督。来年に向けてすでに構想を練り始めていることだろう。
山田「ソフトバンクが強すぎます」
「本当に圧倒された感じ。(ソフトバンクは)素晴らしいチームでした」
工藤監督の胴上げは、あえてベンチ裏に引っ込んで見なかったという真中監督がシリーズをこう振り返った。
「ここという場面や試合は思い浮かばないですね。ただあえて言うなら1、2戦のソフトバンクの投手力に圧倒されたというのはあります」
シリーズを振り返って勝負の分かれ目はどこにあったのか、と聞かれると、少し首を傾げて絞り出すようにこう語るに止まった。
頼みの打線が、武田とバンデンハークに手も足もでないほどに封じ込められた。自慢の個が抑え込まれてしまえば勝てない。そのことをいきなり突きつけられて、実はこの2敗でシリーズの行方はみえたようなものだった。
「日本一になりたかったけど、ソフトバンクが強すぎます。(第3戦で)3本塁打したけど、1日だけ打っても意味がない。コンスタントに毎日打てるようにならないと」
ソフトバンクの胴上げを一塁ベンチから見た山田はこう唇を噛んだ。
交流戦に続いて、セ・リーグのチームはこの日本シリーズでも完敗したのである。
ヤクルトの道はスケールアップか、緻密さか。
この戦いで感じたソフトバンクとの大きな差を埋めるために、ヤクルトは何をすべきなのか?
1つは来年1年間をかけて個の力をさらにスケールアップして、力でねじ伏せるチームを作るという方法がある。そしてもう一つはパ・リーグ的な前に進む野球だけではなく、セ・リーグ的な緻密で細かな野球も取り入れながら、チームとしてのスキルアップを図っていくという方法だ。
勝つためにどの道を選択するのか。2年目の真中監督に課せられた、それが最大のテーマである。