サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
漂う停滞感の原因は「成長の遅さ」。
バラバラなU-22、挽回の一手は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/09/26 16:30
リオ五輪予選は、アジア枠が3しかないW杯の比ではない狭き門。手倉森ジャパンは突破できるのか。
J1が2シーズン制になった影響も?
守備も低調だった。試合前から注意していたセットプレーから簡単に失点し、それ以外にも相手に決定的なチャンスを何度も作られた。相手の速さや高さに翻弄され、まったく対応できていなかった。
町田戦は、攻守にチームとして機能していなかったのだ。
チームに成長の跡が見られないのは、なぜか。今さらだが代表の活動時間や強化試合が少ないのが影響していると言える。たとえば前回のロンドン五輪時は最終予選が始まる半年前は2次予選を除き、中東遠征、ウズベキスタン遠征などを含めて全6試合を戦っている。ちなみに今回は2月のシンガポール遠征の1試合、3月のミャンマー戦、7月のコスタリカ戦の全3試合のみだ。J1が2ステージ制になり、カレンダーがよりタイトになった中、選手を集めるのがかなり難しくなってきているがそうした影響がチーム作りに出ているのは否めない。
J1クラブでレギュラーなのは大島だけだった。
また、個々の選手の成長の速度が遅いのも目についた。3月の1次予選時、J1所属クラブでレギュラーだったのは遠藤航、大島僚太、岩波拓也の3人だった。
「これからはJリーグでレギュラーを奪ってプレーすることが必須になる」と、遠藤を始め多くの選手がそう語っていたが、実現できていない。実際、町田戦のスタメンでクラブでレギュラーなのは大島のみ。今回遠藤は不参加だったが、半年を過ぎてもリオ世代の選手たちは、各クラブでレギュラーを獲得できてないのだ。
ちなみに前回、ロンドン五輪の最終予選がスタートした2011年、J1クラブでレギュラーだった選手は、清武弘嗣、山口蛍、扇原貴宏、永井謙佑、東慶悟、鈴木大輔、酒井宏樹、大迫勇也ら8名もいた。クラブ状況もあり単純に比較はできないが、それにしてもリオ世代はあまりにもクラブでのレギュラー選手が少ない。選手は試合で成長していくので、レギュラーを掴めないと成長の速度が遅くなり、それゆえチームの成長曲線も鈍化する。
「これから攻撃のやり方、選手の選考も見直していくことになる」
手倉森監督は、そう言った。