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9月のセ・リーグ、沈むのはどこだ。
数字が物語る、巨人&阪神の危機。
posted2015/09/18 10:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nanae Suzuki
まさか9月まで「混沌」が続くとは、予想していなかった。
プロ野球のセ・リーグは3.5ゲーム差にヤクルト、阪神、巨人、広島がひしめく大混戦、シルバーウィークがどうやら決戦の時となりそうだ。
先週あたりから、解説者や関係者と会うと、必ずといっていいほど「どこが、落ちるかね?」という話になる。
クライマックスシリーズに進出できるのは3チーム。4球団のいずれかが早いシーズンオフを迎える。
今回は、シルバーウィークを前にどのチームが有利か否かを、指標をもとに考えてみる。
9月の勝敗は投手力が差を生んだ。
9月は台風や秋雨前線の影響もあり、なかなか試合消化がはかどらなかったが、今月の勢いは順位に直結する可能性が高い。ここでまず、4球団の9月の成績を見てみよう。
ヤクルト 6勝2敗1分け
阪神 5勝5敗1分け
巨人 4勝4敗
広島 7勝3敗2分け
ヤクルトと広島がここに来て調子をあげてきた。しかもチーム状態が充実しているのが、9月の得失点差からも分かる。今月の4チームの得失点を見てみると……。
ヤクルト 33得点17失点 +16
阪神 30得点29失点 +1
巨人 33得点30失点 +3
広島 33得点23失点 +10
投手力の差が勝敗に直結している印象だ。
ヤクルトは9試合で17点しか取られておらず、10日以降の5試合での失点はわずか8。小川、石川の安定感は群を抜いている。
広島は前田、ジョンソン、黒田の先発3本柱が大活躍、先週は前田(日曜日の阪神戦は中4日での登板!)、黒田ともに失点を許さず、勝率を5割に戻した15日の巨人戦では、今度はジョンソンが8回を103球、無失点で勝ち投手となった。
両球団は先発の安定感で、秋を乗り切るのではないか、という見方をする関係者が多い。
対して、阪神は接戦が続いて息が抜けない。巨人は雨で流れたゲームが多いだけでなく、先週末に打線が上向いたかと思えば、火曜日にはジョンソンから中崎のリレーで広島に完封負け。いまひとつトレンドがつかめない。
9月の成績を見る限り、ヤクルトと広島が抜け出しそうな気配はある。