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成績低迷が引き起こした泥仕合。
ホンダ&マクラーレンで内紛アリ!?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byMasahiro Owari
posted2015/09/13 10:30
会見でメディアからの質問に応える新井康久総責任者。汚名をそそぐには結果を残すしかないのだが……。
不穏な空気を漂わせるマクラーレン内部。
逆に新井総責任者の主張が正しく、辞任する必要がなかったとしても不安は残る。
それはマクラーレンの内部に、ホンダの主張に疑念を持つ者が少なからずいるのではないかということだ。
新井総責任者は、常々こう語っていた。
「データは嘘をつかないし、技術も嘘をつきません。だから、われわれは(言葉ではなく)技術で証明していくしかない」
そのデータを正しく読み取る力が、マクラーレンにあるのか。
あるいはあったとしても、読み取った事実を正しく認識しようとしない何か政治的な力がチーム内に存在するのか。
会見の後、スペイン人記者が私に歩み寄ってきて、こうつぶやいた。
「今日の会見では、フェルナンドが孤立していった2007年後半のマクラーレンに漂っていた臭いを感じたよ」
2007年のマクラーレンは、アロンソとハミルトンがナンバーワンを巡って溝が深まり、さらにスパイゲート事件の内幕を暴こうとしたアロンソとマクラーレンも対立。
メディアもマクラーレン側に立つイギリス系とアロンソを擁護するスペイン系で衝突が起きた。
それを間近で見ていたスペイン人記者は当時の苦い思い出が蘇ったという。戦うべき相手を見失ってはいけない。