ボランチがマンマークされ、CBが攻撃を主導。

　続くアフガニスタン戦。両センターバックは、より重要な役割を攻撃で担うことになる。相手が長谷部誠、山口蛍にマンマークをつけてきたこともあって、フリーでボールを持つ時間が長くなったためだ。

　望むところ。

　森重はそう言わんばかりに右の無回転ミドルをバーに当て、その直後には左足でもシュートを放つ。右サイドバックの酒井宏樹にもっと高い位置を取るように促し、ロングボールでも揺さぶりを掛けていった。パスが流れてしまう場面はあったものの、ミスを恐れることもなく後方から攻撃を主導する役目を果たそうとした。

　直接FKを吉田が放った場面も然り。悠然と構えて落ち着きをもたらしながら、機を見てセンターバックが攻撃で自己主張する。彼らの積極性が、チームにも良い形で波及していた。

ハリル「一番良い時期に来ている」

　ハビエル・アギーレのもとで全試合に出場した森重も、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制下ではレギュラーを確保できていない。6月のシンガポール戦も吉田＆槙野智章の「新MMコンビ」がチョイスされ、彼は控えに回っている。

　キャプテンマークをつけて臨んだ東アジアカップは2分け1敗の最下位に終わった。北朝鮮戦は2m近いFWパク・ヒョンイルの高さを活かしたパワープレーに屈して2点を失い、続く韓国戦ではハンドでPKを献上した。指揮官は今回のメンバー選考で「彼もまだまだ伸びると思う。一番良い時期に来ているのではないか」と評価を口にしてはいるが、本人にとっては悔しさの残る大会だったに違いない。

　東アジアカップの悔しさが心にあったのだろうか。

　カンボジア戦の後でそう本人にぶつけてみると、彼は「いや」と言って静かに首を振った。

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