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福島千里、決勝ならずも復活の気配。
100m予選の「悪いところがない」走り。
posted2015/08/25 11:15
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
惜しかった。
あらためて2つのレースを思い浮かべると、そう感じる。
8月24日、女子100mの準決勝が行なわれた。日本女子初の決勝進出をかけ、福島千里は準決勝2組に登場したが、11秒32(追い風0.9m)で組の7位に終わり、決勝進出はならなかった。
走り終えた直後、電光掲示板に目をやって下を向いた。引き揚げてくるときも、振り返っては何度も掲示板に目を向けた。表情は厳しかった。
「予選と同じような走りはできなかった」
福島は言った。
前日の23日に行なわれた予選では、日本記録にあと0.02秒、海外の大会では日本最高記録となる11秒23の好タイムをマーク。しかも向かい風0.5mの条件のもとで出した記録だ。
その走りからすると、準決勝では硬さがやや見られた。スタートはよかった。ただ、中盤あたりから、伸びなかった。
福島自身は、レースを振り返って、こう語っている。
「スタートからもっと乗れるところで、ちょっと乗り切れなかったというのはあります。もちろん、欲はあったと思いますけど、そんなに硬くなるほどすごくあがっていたわけでもないし、そういう気持ちでなかったと自分では思っていましたが」
そう語りつつ、予選との走りの違いは認めていた。
「少し硬さはありました。80mのあたりは本当にガチガチと走っていました」
悔いが残っただろう。
「すごくよかった。悪いところがない」
予選での走りが物語っていたように、大会への仕上がりは好調だった。何よりも、福島の笑顔がそれを物語っていたし、言葉も軽快だった。
「すごくよかった。悪いところがないと言った方が近いと思います。状態もよく来られています」
「(準決勝に進んだ2011年世界選手権の)テグと違うところは、ここからだと思えていることだと思います」