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清宮幸太郎フィーバーは、
若貴フィーバーなのだ! 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/08/25 11:30

清宮幸太郎フィーバーは、若貴フィーバーなのだ!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「(大勢のマスコミに囲まれて)これからずっとこういう環境でやっていかなきゃいけない人間だと思っている」とコメントしていた清宮。父の清宮克幸氏も学生時代はビッグマウスだったという。

清宮フィーバーの異常性が溢れだした時期とは?

 清宮フィーバーは西東京大会から始まっていた。

「早実・清宮 生中継終了で大騒ぎ『見せろ』注目度も怪物クラス」(スポーツニッポン・7月22日)

《今夏高校野球の“怪物ルーキー”として注目されている早実・清宮幸太郎内野手(1年)が出場した西東京大会準々決勝「早実-八王子学園八王子」戦が22日、MX TOKYOで生中継されたが、2回の時点で放送が終了。ネット上では「やめるな」「放送できなかったのか」と打ち切りを嘆く声があふれた。》

 清宮が神宮に初登場となったこの試合、私はラジオ番組の現場レポで神宮へ行ったのだが、平日の午後というのに内野席はびっしり。決勝戦でもなかなか開放しないという外野席も早々に開放されていた。

 そして、「きょう神宮初見参 清宮にガードマン!」(スポーツ報知・7月22日)という事態に。どこかスポーツ紙は皆テンションが高くて嬉しそう。「中年の星」といえば宇宙飛行士の油井亀美也さんだが、「オヤジジャーナルの星」といえば清宮幸太郎なのである。

元プロ野球スカウトが絶賛した清宮の素質。

 これだけ話題だと気になるのは「将来どんな選手になるのか」という興味である。読者のそんな早急な欲求にもきちんと応えていた記事があった。

・元スカウト・片岡宏雄氏が見た怪物1年生・清宮「高橋由伸タイプ、柔らかさは筒香」(東京スポーツ・7月24日)

「清宮くんはものすごくスケールがでかい。私もヤクルトで33年間スカウトをしていたけど、高校1年生としては群を抜いている。こんなにスケールの大きい1年生は見たことがない。(略)タイプとして一番、近いのは高橋由伸(巨人)かな。打撃の柔らかさでは筒香嘉智(DeNA)にも近いかも知れない」(片岡宏雄/ヤクルト元スカウト)

「篠塚(巨人)にパワーをつけたような選手というのが一番、しっくりいくかも」(得津高宏/ロッテ元スカウト)

 なるほど意外。例にあげられるタイプが篠塚とか高橋由伸。あの巨体に目がいくけどもバッティングの柔らかさが褒められている。怪物というフレーズが先行しているぶん、興味深い記事だった。

 さて、清宮、清宮と騒げばそれに対し「騒ぎすぎではないか」という論陣を張るメディアも出てくる。

【次ページ】 “辛口おじさん”日刊ゲンダイの独特の立場。

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