世界陸上PRESSBACK NUMBER
ボルトが自分ではなく人間と闘った。
最大のライバルに勝利したその心中。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2015/08/24 11:40
わずか0.01秒差でボルトが勝利を収めた。世界陸上2大会連続でボルトに敗れ銀メダルとなったガトリンは試合後、「自分が負けるとしたら、この男だ」とボルトを讃えた。
「勝ったから、OK!」
そして何より、最後まで真剣に走ったボルトに私は感激した。
オリンピックという場でさえ、ボルトは自分の世界で勝負をしていた。他の走者を置き去りにして、タイムと戦っていた。
しかし今回の北京で、ボルトは人間と戦った。そして見事に、勝った。
欧米の解説者が「ボルトのキャリアで最高のレース」と評価するのも納得できる。
しかし、本人はいたってお気楽ムード。
「今年は本当に苦しんできたシーズンだったから、この勝利が意味するものは大きい。努力は報われるってことだね(笑)。アップ・アンド・ダウンがあったシーズンだったけど、勝ったから、OK!」
来年のリオデジャネイロでも、主役となるのはやっぱり、ウサイン・ボルトだ。