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相馬野馬追を支える地元の馬事文化。
4年間で取り戻したもの、戻らぬもの。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAkihiro Shimada
posted2015/08/01 11:00
甲冑競馬では、中之郷の騎馬武者、西勝正氏が騎乗したハギノコメントが逃げ切った。現在は南相馬市に繋養されているという。
神事・野馬懸に今年もワンダーバンザイが参加。
また、甲冑競馬の第3レースで、終始内の馬と競り合いながら逃げ切ったのは、元競走馬のハギノコメント(セン6歳、父ファルブラヴ)だった。騎乗したのは中ノ郷の騎馬武者、西勝正さんで、同馬はこの地区で繋養されている。
野馬追最終日の3日目には、相馬小高神社で野馬懸(のまかけ)が行われた。神旗争奪戦は明治になってから、甲冑競馬は昭和になってから始められたものだが、この野馬懸は、昔の名残をとどめる唯一の神事で、これがあるから野馬追が重要無形民俗文化財に指定されている、とも言われている。
テレビの全国ニュースでも映像が流れた、神前に奉納された白馬は、元競走馬のワンダーバンザイ(セン16歳、父ブラックタイアフェアー)である。昨年につづいて2度目の参加だった。
あと2頭、騎馬武者たちに追われて参道の坂を駆け上がったのは、この春まで大井で走っていた栗毛のグランドゥーカ(セン3歳、父フォーティナイナーズサン)と、同じく今春まで美浦・栗田博憲厩舎の管理馬として走っていたリルバイリル(セン7歳、父ロックオブジブラルタル)だった。
これら3頭は、相馬市の持館(もったて)ファームで繋養されている。
詳細はまだ知らされていないが、蒔田さんら南相馬市小高区の住民が、来春には小高区の自宅に戻って暮らせることを目標に、国と行政が動いているという。
それが実現してからの野馬追はどのように行われるのか、また取材をつづけたい。