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「おまえのプレッシングは素晴らしい」
マインツ監督絶賛、武藤嘉紀の献身。

posted2015/07/30 17:30

 
「おまえのプレッシングは素晴らしい」マインツ監督絶賛、武藤嘉紀の献身。<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

攻守に膨大な運動量と献身性を見せつけていた武藤。試合後は「かなり良かった」と自身のプレーに満足していた。

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Bongarts/Getty Images

 武藤嘉紀は複数の顔を持っているのだろうか。

 7月29日に行なわれたラツィオとの試合で、武藤は2トップの一角に入った。前半終了間際に左サイドのスペースに飛び出すと、マインツの攻撃の主軸であるマリの先制ゴールをアシスト。3-0の勝利のきっかけを作った。

 試合後のマルティン・シュミット監督は饒舌だった。

「今日の試合のプランでは、ヨシ(武藤)がセンターフォワードだった。守備をしてくれるからだ。(相手が前に出てくるために)ボール奪取の位置がゴールから遠くなる今日のようなゲームの時には、彼のようなスピードのある選手に『金の価値』がある。2人のフォワードは今日の試合でとても良い仕事をしてくれた」

 スイス人指揮官から評価された武藤だが、実は試合前日のトレーニングでは全く異なる姿を見せていた。

DFを抜き切る前に、強引にシュートに行く姿が。

 7対7のミニゲームでセンターフォワードの位置に入った武藤は、これまであまり見せたことのないプレーを披露した。後方からのパスを受けて素早く反転し、プレッシャーをかけてきたディフェンダーを抜き切らないうちに強引に右足を振り抜く。ボールはディフェンダーの伸ばした足にあたったが、武藤のシュートの勢いを止めることは出来なかった。1秒後、ボールはゴールネットに吸い込まれていた。

 自身の珍しいプレーについて、武藤はこう話した。

「フォワードをやるにあたっては、ドイツの強いディフェンダーと(マッチアップ)するときに、キレイさだけでは点を取れないと思うので、泥臭さと力強さを身につけていかないとな、と思っています」

 まるで、野性味あふれるストライカーのようなゴールだった。練習とはいえ、ここまで彼がプレーした4つの練習試合では見せていなかったプレーだった。

【次ページ】 試合では献身的に走り、前線からプレスをかける。

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