F1ピットストップBACK NUMBER
ミスで自滅のメルセデスを慰めた、
エクレストンの“オシャレ”な言葉。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/08/02 10:40
1930年生まれ、御年84歳のバーニー・エクレストンだが、「F1の支配者」として今なお元気にサーキットを闊歩する。
表彰台を逃したメルセデスにかけた言葉とは?
今年30回目のハンガリーGPでもさまざまなミスやトラブルがあったが、そのほとんどがチャンピオンシップを独走するメルセデスAMGに関わるものだった。
まず、予選でフロントロウを独占しながら、スタートで出遅れる。
その直後、4番手に後退したルイス・ハミルトンがコースオフし、10番手まで脱落。
さらに3番手を走行していたニコ・ロズベルグがバーチャルセーフティーカーが導入されたタイミングでピットストップした際、チームが硬いほうのタイヤを装着させる判断ミスを犯す。
極め付けは、2人のドライバーがレース再開後にともに接触事故を起こしてポジションダウン。
最終的にハミルトンは6位、ロズベルグは8位でチェッカーフラッグを受け、フェラーリのセバスチャン・ベッテルに今シーズン2勝目を献上した。
メルセデスAMGが表彰台を逃したのは2年前の最終戦以来であるから、今回のハンガリーGPで彼らがいかにミスを連発させていたかがわかる。
しかしそれこそがレースであり、F1なのではないだろうか。
レース後、メルセデスAMGのトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)がメディアに囲まれて敗因を厳しく問いただされていると、そこにエクレストンが笑顔でやってきて敗戦の将であるウォルフをこう言って慰めた。
「君らがレースに勝たなければ、これだけレースは盛り上がるんだ。今日は本当にいい仕事をしてくれたよ」