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藤田寛之が日本ツアーに辛辣提言!
「一般の方に受けないコースも必要」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2015/07/30 10:40
全英の深いラフと格闘する藤田寛之。昨年は日本ツアーで3勝をあげたが、今年はここまで0勝。46歳とシニアツアーも見えてきて、選手としての岐路に立っている。
全米では、一流選手がコースに悪評の嵐を浴びせた。
素顔をさらして意見を公にするのには、やはり勇気がいる。
しかし考えてみれば、世界の第一線では日々選手たちが忌憚のない意見を飛び交わせている。
6月の全米オープンが行われたチェンバーズベイGCでは、劣悪なグリーンコンディションに選手達から悪評が募った。ヘンリック・ステンソンが「ブロッコリーの上でパターをしているみたいだ」と吐き捨てれば、ローリー・マキロイは「緑色のブロッコリーじゃなくて、(グリーンが白っぽくて)カリフラワーみたい」と“援護射撃”する始末。
全英では大会3日目、結果的に10時間以上の中断を呼んだ強風の中でのプレーを強いられた選手たちが爆発した。
「(大会からの)アナウンスが少なく、フラストレーションが溜まった。何時間待たされるか分からず、集中力を保たなければいけなかった」
「(グリーンでセットした)ボールが動くのに試合を続けろと言われ、驚くしかなかった」
トップツアーは、改革と反論で作られている。
新世代のヒーロー、ジョーダン・スピースはいまやゴルフ界きっての優等生として評判だが、実はその物言いには遠慮がない。優勝した全米オープンでは、あるホールを「今までプレーしてきた中で最悪のホールだ」と言い放ち、全英では強風下のコンディションに「(主催の)R&Aは外で何が起こっているか分かっていない。僕らはスタートするべきではなかった」と大会運営を堂々と批判した。
米ツアーは毎年ポストシーズンに全4戦のプレーオフを行う。例年、第2戦と第3戦の間に1週間のオフがあるが、昨年は4週連続で試合が組まれ、エリート選手たちからの不満が噴出した。ツアーのコミッショナー、ティム・フィンチェム氏は彼らの意見に耳を傾け「4連戦は機能的でない。私たちもそれを理解した。来年(2015年)以降はこうはしない」と約束した。トップツアーは日々、改革と反論で作られている。
結果が伴わなければ、スピースたちの説得力と藤田のそれとは違うかもしれない。ただ、渡米してのプレーを続ける日本のツアープロも、メジャーを、世界のプロゴルフのトレンドを知る数少ない伝道師たちである。
選手側も公明正大に意見を発することが、ゴルフ界への貢献になることもあるはず。なんだか奥歯に物が挟まったような言い方のメッセージをSNSに投稿するよりは、よっぽどわだかまりなく前進できそうだし、なにせファンに生む誤解が少ない。
彼らの言葉を戯言と捉えるか、それとも将来への金言にするか。藤田の放談も、セント・アンドリュースの風の後押しがなければ聞けないというのなら、それこそ寂しい。
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