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藤田寛之が日本ツアーに辛辣提言!
「一般の方に受けないコースも必要」
posted2015/07/30 10:40
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
AFLO
何かを伝えようとするのには、勇気がいる。
藤田寛之が堰を切ったように話し始めたのは、セントアンドリュースで行われた全英オープンでのことだった。
今年は8人が出場した日本勢。「そうはあって欲しくない」。嫌な予感は当たるもので、松山英樹を除く全員が予選通過できなかった。
不惑を迎えてメジャー参戦の常連になった藤田。2010年以降、日本人では石川遼に次ぐ16回の出場を誇るが、結果は思わしくない。決勝に進んだのはわずか2回、今回も2ストローク及ばなかった。
弁の立つベテランは、いつも“敗因”として自身の技術のなさを嘆き、現状分析を丁寧に公にしてくれた。向上心から来るボヤキは、海を渡ればいっそう拍車がかかった。
だが、今回ばかりは何かを悟ったような顔をして、技術「ではないこと」を訴えた。「選手は目一杯やっているが、環境の違いは大きい。日本のコースでは世界で活躍する選手が育つのは難しい」
そう言って、個々の技術や取組みよりも国内のトーナメントが行われるコースの現状を強い調子で憂いたのである。
アマチュアには受けないコースの必要性も?
経験の浅い日本の選手が、海外のコースに面食らうケースは往々にしてある。距離の長さ、芝種の違い、傾斜の多いグリーンやフェアウェイ、恐怖心をあおるハザードの配置……。それぞれが持つ歴史や文化の濃密さでは日本のコースも欧米に負けてはいないが、藤田は「日本の多くのコースは、世界のトーナメントコースとは別のもの」と語気を強めた。
思いの丈の一端を吐きだすと、口調は次第に強くなった。
「世界に出る選手を育てるためには、一般(アマチュア)の方にはまったく受けないコースも日本に必要かもしれない」
「2005年に全英に出た時、フェアウェイが(硬くて)ベアグラウンドに思えて『これでどうやってロングアイアンを打つんだ……』と驚いた。でもいまはそれが自然に考えられる。日本でも北海道のペタペタの芝からのアプローチは難しい。ラフからはボールも飛ばない。若い時には自分もそうやって戸惑ったが、慣れていく。やっぱり環境なんですよ」