セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
CBコンビの離脱と走れないトッティ。
“元優勝候補”ローマ、目標は2位。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/05/13 10:50
勝てば2位浮上となる4月19日のアタランタ戦もドロー。指揮官ガルシアは「怒りしかない。我々はいいプレーをしなかった」と吠えた。
フロレンツィ「ばあちゃん、俺、やったぜ!」
ローマは、再び2位を奪回した。
2試合連続ゴールを決めた24歳のMFフロレンツィは、指揮官ガルシアから今季最も酷使されてきた選手だ。指揮官の命じるまま、6つの異なるポジション(右サイドバック、左右のサイドハーフ、センターフォワード含む3トップ全て)で、つねに全力疾走した。
童顔のフロレンツィは、昨年9月のカリアリ戦でゴールを決めた後、スタンド観戦していた祖母アウロラの席まで一目散。「ばあちゃん、俺、やったぜ!」と熱い抱擁を交わした姿が生中継され、“孝行孫”として全国の高齢層サッカーファンの心もがっちりつかんでいる。
生粋のローマっ子だけに、地元のプレッシャーに対する苦悩は人一倍強い。ジェノア戦でも93分間走りきった後、正直に語った。
「明日も明後日も、たぶん体は(筋肉痛で)バキバキに痛いと思うけど、今日も走らずにはいられなかった。2位を絶対取るためにも、何とかラツィオにこけてほしい」
フロレンツィの願いが届いたのか、9日にローマがミランに負けた翌日、ラツィオもインテルに敗れた。ローマは勝ち点64で2位をキープし、ラツィオが1点差で追う展開は続く。
CL直接出場権の枠は2つのみ。決着はダービーへ。
残り3節のカードを見れば、カレンダー上はローマが有利だ。欧州カップ戦枠争いでしのぎを削る6位サンプドリアと4位ナポリとのアウェーゲームを控えるラツィオに対し、ローマが本拠地オリンピコに迎える相手は、もはや士気の低いウディネーゼとパレルモだ。
だが、心身疲労困憊のローマに楽観する余裕はない。ミランに敗れた夜、悲壮感漂うベテラン守護神デサンクティスは、自分たちへ言い聞かせるように語った。
「残り3試合に全勝すれば、2位は獲れる。すべては俺たち次第だ」
やはり、CLへの直接出場権をかけた2位争いの天王山は、37節のローマ・ダービーだ。
チームの尻を叩く指揮官ガルシアの怒りが冷めようと冷めまいと、5月24日のダービーは、確実に例年以上にヒートアップする。
土壇場で踏ん張るローマは、2位を死守できるだろうか。