セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
CBコンビの離脱と走れないトッティ。
“元優勝候補”ローマ、目標は2位。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/05/13 10:50
勝てば2位浮上となる4月19日のアタランタ戦もドロー。指揮官ガルシアは「怒りしかない。我々はいいプレーをしなかった」と吠えた。
期待はずれのFWたちと、走れないトッティ。
得点王争いをリードするFWテベス(ユベントス)のように“俺にまかせろ”と啖呵を切れるストライカーの不在も響いた。大枚はたいたはずのFWたちは、ことごとく不発に終わった。
2200万ユーロを費やして獲得したFWイトゥルベは、右膝や右足首に故障を抱え、35節を終えてリーグ戦でのゴールはわずか1点どまりだ。
昨季の活躍が評価され、開幕早々にクラブと'18年まで契約延長したFWジェルビーニョは、冬のアフリカネイションズ杯で母国待望の優勝を果たし、ベスト11にも選ばれた。しかし、ローマに帰ってくるなり「疲れたよ」と燃え尽き、完全にやる気を失った。満腹になった豹は走らない。
主将トッティがチームに与える存在感は今も強大で、一たびピッチに立てばさすがの攻撃センスを見せるものの、その代償として走れない彼をカバーするために周囲が疲弊する。指揮官ガルシアは、たびたびトッティをベンチに置く決断を下したが、代わりに抜擢したFW陣がその度に結果を残せず、トッティ待望論は決して無くならない。
FWデストロ(現ミラン)もFWボリエッロ(現ジェノア)も、前半戦限りで放出された。即戦力として冬にCSKAから獲得したFWドゥンビアも、コートジボワール代表からの合流が遅れ、初ゴールを挙げたのは4月も終わろうかという33節サッスオーロ戦だ。
代表戦、久々のCLでコンディションが整わず。
今季の不振の原因を考えていくと、フィジカル・コンディションの調整不足によるところが大きいように映る。
1月から2月にかけ、アフリカネイションズ杯に出場する代表組が次々にチームを抜けると、固定起用されたMFピアニッチらはターンオーバーも許されないまま酷使され、疲労が蓄積した。
筋肉系故障者は2月までに20人を数え、チームドクターとトレーナーが責任の所在をめぐって対立。彼らと選手たちの間の信頼関係も揺らいだ。
さらに、2シーズンにわたる欧州カップ戦不出場のツケは高かった。特にCLのゲームにかかる負荷は大きく、チーム全体のピーキングは混乱し、選手たちは週末のセリエAでもパフォーマンスを落とした。