プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア年間最優秀監督は誰の手に?
最低候補はマンC指揮官、では……。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2015/05/06 10:30
モンクは1979年生まれの36歳。現役時代はスウォンジーで8年間主将を務めたが、知名度的にも格的にも「つなぎ」の監督と思われていたが……。
スウォンジーのギャリー・モンクを推したい!
では年間最優秀監督の有力候補は誰なのかというと、筆者はスウォンジーのギャリー・モンクを推したい。
リーグ順位では、対抗馬のロナルド・クーマンの就任1年目に、ヨーロッパリーグ進出の望みを残すサウサンプトンの後塵を拝することになるだろう。クーマンは、相次ぐ主力の流出を受けてサポーターが年間指定席の購入を躊躇っていたほどのチームを、堅実な采配で救った。
前線にグラツィアーノ・ペッレやドゥサン・タディッチ、ゴールマウスにはフレイザー・フォースターを獲得するなどした補強は、そのスケールこそジエゴ・コスタ、セスク・ファブレガス、ティボウ・クルトワを加えたチェルシーに劣るが、即戦力としての効き目では負けていない。前任のマウリシオ・ポチェッティーノ(現トッテナム監督)ほど最終ラインを押し上げない戦術は、後方から組み立てるスタイルを踏襲しつつも、失点数リーグ最少レベルの堅守を可能にした。
但し、クーマンの指導が早々にチームに浸透し、ファンにも一目置かれるようになった理由には、元バルセロナの名選手という“オーラ”もあったはずだ。その点モンクの後光は、昨季終盤に指揮を任されるまでの「スウォンジー主将」というマイナー級のもの。前任者は世界的な名声を誇るミカエル・ラウドルップで、モンクが後任に指名された時点では「廉価な繋ぎ役」という見方しかされていなかった。
エースを奪われても、大敗しても立て直す。
しかも今季のモンクは、冬の移籍市場でエースのウィルフリード・ボニーをマンCに奪われている。小所帯のチームが、昨季は全試合合計27得点、今季も移籍前のリーグ戦で9ゴールだった得点源を失ったわけだが、それでもスウォンジーはトップ10から落ちなかった。新エースには、モンク自身が昨夏に獲得したバフェタンビ・ゴミスを抜擢。2月のマンU戦(2-1)では、そのゴミスの逆転ゴールでクラブ史上初の“ダブル”(リーグ対決2戦2勝)が実現された。
その前月にはホームでチェルシーに大敗(0-5)のショックを味わっているが、試合後のモンクは35歳の新米監督とは思えない落ち着きぶり。「ミスを容赦なくつかれたが同じ失敗を繰り返さないようにすればいい」と語り、続くサウサンプトンとのパスサッカー対決では、劣勢に堪えての零封勝利(1-0)で「脱線」を防いでみせた。