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メッシはロナウドに抜かれて悔しい?
岩本輝雄が語るバルサ、2つの観点。
text by
岩本輝雄Teruo Iwamoto
photograph byAFLO
posted2015/04/17 11:45
移籍直後はバルセロナにフィットするかが心配されていたルイス・スアレスだが、今ではメッシとともに攻撃の中心に君臨している。ピッチ上では献身的な男に、ファンも満足気だ。
マスチェラーノのチェイシングはハンパない。
それとマスチェラーノの存在感! あのチェイシングはハンパない。前半、ラベッシのラストパスを受けてチャンスを迎えたカバーニを身体ごと潰した場面とか、後半、全力で仕掛けたスライディングを外されたあと、すぐに立ち上がってもう1回追いかけた場面は鳥肌が立ちました。マテューが入って中盤にポジションを上げてからも、パリSGの攻撃の芽を摘む効果的なディフェンスをしていたと思います。
もちろん、チーム全体の組織的な守備も機能していました。時間とスペースを与えない連動した守備は、見ていて気持ちが良かった。例えば、相手のSBはネイマールとメッシが見ることになっているんですが、上がってくるようならすぐに後ろの選手に受け渡し、自分は前に残る。ネイマールとメッシがSBについてサイドに引っ張られたときは、イニエスタ、ラキティッチ、そしてアンカーのブスケッツもカバーに行く。そのように相手がこう来たらこう対応するという守備パターンが何通りも用意されている。攻撃にばかり目が向きがちですが、臨機応変な守り方もバルセロナの強さを支えるポイントだと感じます。
ダビド・ルイスの股を2回ぬいたスアレス。
もちろん、攻撃陣も圧巻でした。とりわけメッシ、スアレス、ネイマールの3トップの破壊力はすごかった。
マンチェスター・シティを相手に2点を奪った試合も見たんですが、スアレスの決定力はえげつないレベル。あのダビド・ルイスの股を2回抜いて2ゴールを奪ったんですから、世界屈指のアタッカーと言っていいでしょう。行けると思ったときは守備でも頑張るので、チームメイトにとっては本当に頼りになる選手です。それにしても2点目は外れたように見えましたが、映像を確認したらすごいコースに入っていましたね。
メッシもここ最近は運動量が増えて、身体がキレていると感じます。リーガの得点数でC・ロナウドに抜かれたことが悔しかったんだと想像します。この試合でもネイマールとスアレスがゴールを決めたので、自分もという思いがあったのではないでしょうか。
ドリブル、シュート、パスなどメッシの持ち味は誰もが知っていると思いますが、僕が思うすごさはフリーになる方法を知っているところ。どこに動けばフリーになれるかを、感覚的につかんでいるんだと思います。ネイマールの1点目のゴールも、イニエスタからボールを受けたとき、メッシは完全にフリーになっていました。あれだけプレッシングを受けて、スペースも限られているなかフリーでボールを運んで、あとは決めるだけのラストパスを出せるんだから、やっぱり次元の違う選手だと思います。