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ヤクルト・田中浩康が浴びた大歓声。
定位置を失い、11年目のコンバート。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/04/14 10:30

ヤクルト・田中浩康が浴びた大歓声。定位置を失い、11年目のコンバート。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

尽誠学園高校時代から二塁を守り、甲子園にも出場した田中浩康。昨年は三塁、一塁などでも出場したが、今季からは本格的に外野手としてスタメンを争っている。

バレンティン、ミレッジの故障で任されたライト。

 春季キャンプから「2、3倍は練習したい」と、精力的に外野ノックを受けた。3月31日の阪神戦で、ミレッジが試合直前に右肩を負傷したことにより急遽ライトを任されて以降、スタメンの試合は外野での出場が続いている。田中が「外野の守備は難しい」と話すように、多少なりとも不安だってある。

 4月8日の試合でも、中日に先制されたルナの一打は、2死二塁からのライト前だった。助走と捕球のタイミングが合わないまま本塁へ送球したこともあり二塁走者の生還を許したが、走者が俊足の大島洋平だったことを考えれば田中の守備を責めることはできない。何より、本格的に外野を守るようになってから2カ月程度。今はまだ、実戦で守備を鍛える段階だと言えるのではないか。

「試合に出ることが当たり前だと思っていないんで」

 自分でもそのことを認識しているのか、田中は殊勝に今の立場を語っていた。

「試合に出ることが当たり前だと思っていないんで。今、主力が怪我でいないことはチームとしても不本意なのかもしれないですけど、真中監督から仕事をもらえたので、それを意気に感じて。『またスタメンで』という気持ちにさせてもらえたのは大きいですよね。でも、まだまだ始まったばかりなんで、1試合、1試合必死にやっていくだけです」

 昨年左足首の手術をした主砲のバレンティン、そしてミレッジが復帰すれば、外野のレギュラー争いはさらに激化する。

 だがそれも、好調を維持する今のチームにとっては嬉しい悲鳴となるだろう。

 田中浩康が帰ってきたのだ。

 彼が踏み出した新たな一歩。その歩みが、前へ前へと進むたび、ヤクルトは強くなる。

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