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ルージュ一強か、三強か、それとも?
2015年桜花賞はハイレベルな一戦に。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/04/11 08:00
きさらぎ賞でも盤石な強さを見せ、牡馬を相手に完勝するなど、いまだ底を見せていないルージュバック。陣営は春の結果によっては凱旋門賞挑戦も視野に入れているという。
ルージュバック、追い切りで思わぬトラブル!?
本追い切りは併せ馬をする予定だったが、早めに加速して単走になり、陣営が想定していたより時計が速くなってしまうなど、スムーズさを欠いてしまった。それでも、管理する大竹調教師は悠然と構えている。
「雨で鞍上の手綱が滑ったことによる動きを、馬がゴーサインと勘違いした。単純に引っ掛かったわけではなく、元気な証拠です」
きさらぎ賞以来2カ月ぶりの実戦となるが、もともと間隔をあけて使われている馬だ。
4枠8番という、前と後ろを見ながら、ペース次第で位置どりを決めやすい理想的な枠を引いた。
この馬が、2004年のダンスインザムード以来11年ぶり7頭目の「無敗の桜花賞馬」となる可能性は、かなり大きいのではないか。
ルージュバックが取りこぼすとしたら……。
ルージュバックがとりこぼすとしたらどんな形になったときか。近い位置からヨーイドンで瞬発力勝負をして、この馬に勝てる馬はまずいない。やはり、前々で立ち回った馬が流れ込み、ルージュが差し届かない、という形だろう。
同じく無敗の重賞勝ち馬の1頭、クイーンズリング(父マンハッタンカフェ、栗東・吉村圭司厩舎)なら、ルージュより前で競馬をし、なおかつルージュに対抗しうる瞬発力を発揮できるかもしれない。
デビュー戦が1800m、2戦目の菜の花賞が1600m、そして前走のフィリーズレビューが1400mと、1ハロンずつ距離を短縮し、そのすべてで結果を出してきた。特に前走はマイナス20kgの444kgと馬体が細くなっていたにもかかわらず、後方から大外一気の差し切り勝ちを決めた。外回りコースが舞台となることも、本追い切りを終えた時点で452kgと馬体が戻っていることも好材料だ。
鞍上のミルコ・デムーロは、JRAの騎手になってから初めてのクラシック制覇を狙う。
もう1頭の無敗の重賞勝ち馬キャットコイン(父ステイゴールド、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)は、前記2頭と異なり、3戦とも1600mを使われてきた。3月28日に栗東トレセン入りし、本番に備えている。だが、本追い切りのあと、前走時より10kg軽い430kgまで体が細くなっているのがちょっと気になる。骨折で戦線を離脱した2歳女王の僚馬ショウナンアデラの無念を晴らすことができるか。