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マッド・マックスと豪華投手陣。
~田中将大の1.5倍の超大型契約~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2015/02/07 10:40

マッド・マックスと豪華投手陣。~田中将大の1.5倍の超大型契約~<Number Web> photograph by Getty Images

7年総額2億1000万ドルでナショナルズに入団したマックス・シャーザー。2013年には21勝を挙げサイ・ヤング賞に輝き、昨季も18勝で2年連続で最多勝のタイトルを獲得した。

6人中3人が2年以内にFAの権利を取得するが……。

 ただ、気がかりな点がないわけではない。

 ジマーマンとフィスターは、2015年11月にFAの権利を獲得する。ストラスバーグも2016年11月にFAの権利を得る。

 問題はここだ。仮にジマーマンとフィスターがふたりそろってFA市場に流出するとなれば、ナショナルズの投手王国は一気に瓦解する。かといって、彼らふたりをともに引き止めようとすれば巨額の資金が必要となる。年俸総額が現在より3000万ドル以上ふくらむ事態は避けがたいだろう。実際の話、6枚看板のなかで年俸が100万ドルに満たないのは、遅咲きのロークただひとりなのである(他は最低でも740万ドル)。

 なるほど、球団オーナーのテッド・ラーナー(今年90歳になる不動産王)は大リーグでも指折りの大富豪だ。総資産は40億ドルを優に超えるそうだから、年俸総額が1億4000万ドルから1億7000万ドルに増えても、そんなに懐が痛むわけではないだろう。ただ、6枚看板を5枚看板に引き下げたとしてもさほどのダメージはない、という算盤が弾かれる可能性がないとはいえない。

ストラスバーグ売却、という可能性も?

 となると、意外に現実味を帯びてくるのは、ストラスバーグの売却という線だ。ご承知のとおり、ストラスバーグは'09年ドラフトの1位指名でナショナルズに入団した。もちろん鳴り物入りで、新人の'10年には68イニングスを投げて92三振を奪った。すぐにトミー・ジョン手術を受けたのにはひやりとしたが、'12年からは前線に復帰し、3年間で37勝と630奪三振を稼ぎ出している。昨'14年などは34試合に先発し、215イニングスを投げた。どちらもデビュー以来最多の数字で、いまも逸材であることに変わりはない。

 だが、気になるのは球速の低下だ。

 2010年、メジャー・デビュー直後のストラスバーグは、時速157kmのフォーシームを投げていた。その球速がやや右肩下がりの傾向を示し、'14年には平均153kmにまで落ちている。微減といえば微減だが、被打率と被本塁打数が上がっているのもマイナス材料だ。'13年6月には背中の張りを訴えてDLに入ったし、同年10月には右肘の遊離軟骨を除去している。

【次ページ】 5人の他にも、傘下には成長著しい若手が。

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