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本田圭佑の発言が和らいだ理由。
「世界一になる」から、等身大へ。
posted2015/01/20 10:40
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Takuya Sugiyama
昨年12月、アジアカップについて聞かれた本田圭佑は、独特な言い回しをしつつ、こんな風に話していた。
「当然、連覇ということでいえば、それを阻止しにくる強豪が何チームかありますんでね。想像以上に難しい試合(大会)になるんじゃないかと。相手だけでなくてピッチの状態であったりとか、レフェリーとか、色んな要素が絡んでくるのがアジアカップですから。色んなものをどれだけ味方にできるか、ポジティブに考えるかが非常に大事じゃないかと思います」
本田は、試合の直前になると話をしたがらない。だからこの時、少々先のことであってもアジアカップの展望を口にすることに新鮮な印象を受けた。その内容が厳しい予想や、小難しい理屈めいたことではなく、はたまたやたらな強気でもなく、前向きで明るさを感じさせるコメントだったことも印象的だった。
大会が始まっても、ポジティブなコメントが。
実際に大会に入ってからの本田の発言を聞いていると、本人の言葉通りポジティブな発言が目立つように思う。例えば初戦パレスチナ戦では4-0と大勝したが、内容的な課題を口にする選手も多く、終盤の時間帯の戦い方については良しとする声ばかりではなかった。しかし、本田は違った。
「若い選手が入ってくるとフレッシュだけど、『点を取りたい、結果を出したい』というのがある。もちろん、もともといた選手も点を取りたい。全員が前に行きたくなる。そういうサッカーになるのは悪いことではないけど、単調で速すぎるというのが今日は裏目に出た。4-0でも相手が攻めに来ない状況では裏目に出たけど、0-0で拮抗した展開であれば良い方向に行くと思う」
またイラク戦後、3本のシュートがバーやポストをたたいた事は、悔しさではなく次への課題になった。
「僕自身、外したところはしょうがないと思ってるんで。それよりもああいったビッグチャンスをあと3、4本作れれば。まあ7、8本あれば外さないだろうと」