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長谷部が語る“アギーレスタイル”。
情報は、選手自身が取りにいくべし。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/01/15 10:40

長谷部が語る“アギーレスタイル”。情報は、選手自身が取りにいくべし。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

1月18日の誕生日に31歳になる長谷部誠は、すでにキャプテンマークを巻いて4年以上になる。チームでも年長組に入るようになり、その存在感はさらに増している。

長谷部「4年前とは自分の立場も変わった」

 W杯ブラジル大会を経て、アギーレ監督のもと新たなスタートを切った日本代表。負傷などもあり、チーム離脱や未招集の時期もあった長谷部だったが、やはり指揮官はアジアカップで彼をキャプテンに指名している。

「監督が代われば、チームの雰囲気が変わる部分は大きい。このチームはいろいろな選手の間で、コミュニケーションをよくとっている。それはこのチームの良さだと思います」

 長く代表の一員として共に戦ってきたメンバーも多いが、それでも監督のスタイルがチームの空気に及ぼす影響は小さくはない。そんななか、長谷部が強く意識しているのは、自分たちが重ねたキャリアを「若手に伝えていく」ことだ。

「4年前とはチーム内での自分の立場も変わったと思っています。やはりこの4年間で、さまざまな経験を積めたことは大きい。とにかく今は、その経験を若い選手に伝えるという部分で、非常に大事な役割があると思います。まずは経験ある選手がコミュニケーションをとり、それを下の世代というか、若い選手たちに伝える。そういうことをやっていかなくちゃいけないと選手同士で話しているし、普段からそれを意識しています」

試合への意識を高めるタイミングを計っていた指揮官。

 今回、代表は1月8日に合宿地から初戦の試合会場となるニューカッスルへ移動。ザッケローニ前監督の場合、その時点で対戦相手のスカウティングビデオを見ながらのチーム・ミーティングを実施するケースが多かった。その時間が選手たちの“スイッチ”をいれることにもつながった。

 しかし、アギーレ監督はミーティングを実施しなかった。

 対戦相手となるパレスチナの試合映像がリラックスルームに置かれ、選手たちは自由に見ることができたが、相手を意識したトレーニングはなかった。むしろ、自分たちのサッカーの精度を高めるために時間が費やされたようだ。1月9日、試合時間に合わせて夕方に実施された非公開練習を強めに行なった後は、10日午前中には一転リラックスムードのトレーニング。指揮官はそのメニューで選手たちのメンタルをコントロールしているようだった。

「12日間から15日間のトレーニングをした後で、選手たちが早くプレーしたいとナーバスになる傾向がある」と初戦後の会見でアギーレ監督が語っている。試合への意識を高めるタイミングを計っていたのはキャプテンだけでなく、指揮官も同様だったのだろう。

【次ページ】 長谷部が10日の練習後に実施したミーティング。

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ハビエル・アギーレ
長谷部誠

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