REVERSE ANGLEBACK NUMBER
ブラインドサッカーの魅力と危惧。
見る者を圧倒する激しい“肉弾戦”。
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byMoto Yoshimura
posted2014/11/27 10:30
ブラインドサッカー世界選手権で繰り広げられた、ブラジルとコロンビアの試合。「なぜそのプレーが出来るのか」。初めて観戦した人間は多くの場合そう思うという。
オリンピックとパラリンピックの差とは?
こういうスポーツを見ていると、いつも感じるのはオリンピックとパラリンピックの差異の意味だ。わざわざふたつを分ける必要があるのかと。
オリンピックではサッカー、パラリンピックではブラインドサッカーというのが現在の区分だが、サッカーという競技の中で、ふたつが違う種目として存在してもいいのではないか。ブラインドサッカーのフィールドでは視覚がないことはハンディキャップではなく、ただの競技上の条件でしかないようにも思える。走り高跳びと砲丸投げの選手の肉体条件は全く違う。それでも陸上でひとくくり。だったらブラインドサッカーだってと思うのだ。
その一方で、これだけ激しく、専門化してしまうことへの危惧もないわけではない。少なくとも競技者の最先端では、目にハンデのある人が、安全に楽しく、勝敗を度外視して楽しむスポーツではなくなっている。強さの追求はほかの人気スポーツとほとんど変わりがない。それが正しいのかとなると、目の前の楽しさを単純に称賛するわけにもいかないように思え、試合を見終えた後の帰り道、コーヒーをすすりながら考え込んでしまった。