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サウサンプトンが降格候補から躍進。
クーマンの「夢」は実現するか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2014/10/04 11:00

サウサンプトンが降格候補から躍進。クーマンの「夢」は実現するか。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

現役時代はバルセロナで活躍し、指揮官としてはフェイエノールトを復活させたクーマン。

「3年後までにタイトル獲得とCL出場」

 もっとも今夏最大の効果的な補強は、シュネイデルランの引き止め成功だろう。当人は前監督の待つトッテナムへの移籍を希望していたが、新監督は断固として離脱を許さなかった。温和な見た目とは裏腹に、クーマンの頑固な内面を示す一例でもある。

 シュネイデルランは、昨季もダブルボランチの一角として中盤に欠かせない存在だったが、今季は新たに基本となった3センターの一角として、攻撃面でダイナミックに振れるメトロノームのよう。実際、開幕6戦で既に昨季を上回る3得点を記録している。

 シュネイデルランが2ゴールを決めた8月末の第3節ウェストハム戦(3-1)後、クーマンは「3年後までにはタイトル獲得とCL出場を実現したい」と語って報道陣を驚かせた。開幕前に降格の可能性が指摘されていた、という背景がないとしても大胆な発言だ。

「夢を見なければサッカーをする楽しみがない」

 開幕ダッシュに成功したとはいえ、シーズンはまだ序盤戦。サウサンプトンは、ウェストハム戦を機に9月は連勝街道を走ったが、今後は連敗の可能性も少なくない。

 11月末から年始にかけては、マンCに始まり、アーセナルとマンUとの計4試合、更にはエバートンやチェルシーとも対戦する過酷なリーグ日程が待ち受けている。冬の移籍市場では、トッテナムによるシュナイデルラン獲得再挑戦はもちろん、「居残り組」として開幕から意地の好パフォーマンスを披露しているジェイムズ・ウォード・プラウズ、ビクター・ワニャマの両MFや、右SBのナサニエル・クラインといった面々にも、他クラブの手が伸びてくるかもしれない。

 だが、開幕前に「チーム崩壊」と言われたサウサンプトンは、大きな夢を見る資格を手に入れた。開幕後の1カ月半で、早くもプレミアでの死の淵から生還を果たしたようなものなのだから。

 そして、その生還を実現した指揮官は言っている。「夢を見なければサッカーをする楽しみがない」と。サウサンプトンは、周囲の同情など不要とも言わんばかりに、前向きに、決意も新たに今季のプレミアを闘っている。だからこそ、頑張って欲しいと思わずにはいられないのだ。

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