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シャムスカ体制の「誤算」を考える。
土台なきジュビロが陥ったJ2の罠。
posted2014/09/27 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
J.LEAGUE.PHOTOS
9月25日、J2ジュビロ磐田はシャムスカ監督を解任し、新たにチームOBの名波浩氏の監督就任を発表した。
今季は元日本代表のMF松井大輔をはじめ、神戸からFWポポ、G大阪からはGK藤ヶ谷陽介を獲得し、前田遼一、駒野友一、伊野波雅彦も残留。かつて大分で“シャムスカマジック”旋風を起こしたペリクレス・シャムスカ監督を招へいし、開幕前に磐田は優勝候補と目されていた。
前半戦を終えた時点で13勝4分4敗で2位。独走する湘南との勝ち点は大きく開き、3位の松本山雅とは同勝ち点で、得失点差でリードしているにすぎなかった。第33節の水戸戦で1-4と大敗し、後半戦はこれで3勝4分5敗。2位を奪われた松本山雅には、すでに8もの勝ち点差をつけられた。
J2リーグは残り9試合。可能性が残るJ1昇格はもちろん、抜本的なチーム再建を目指しての監督交代だろう。
今後の磐田の変化について考える前に、まずはシャムスカ体制の「失敗」について考えてみたい。
水戸戦後、すっきりした表情だったシャムスカ。
水戸に大敗した後、シャムスカに「監督就任からの8カ月間」について質問した。このときはまだ解任が公になっていなかったが、今思えばすっきりとした表情だった。すでにチームを離れることを知らされていたのかもしれない。
「ジュビロは、去年4勝しかしていないチームだ。イチから再建を行わなければいけない状況にあった。ずっとJ1で戦ってきた選手にとって簡単なことではないが、J2特有のサッカーのなかで、それに適応してしっかり戦わなくてはいけない。
ただこの8カ月の中で、我々はどういう風に戦う必要があるかをわかってきたつもりではいる。残り9節、昇格という最終目標を達成するチャンスは残っている。もちろん最終目標を達成するために力を出して行かなければいけない。今日の試合については、技術的にも戦術的にもあまりにもひどかったので、あまりいうことはない」