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シャムスカ体制の「誤算」を考える。
土台なきジュビロが陥ったJ2の罠。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS
posted2014/09/27 11:00
2009年の大分時代から、5年ぶりのJリーグ復帰だったシャムスカ監督。J1復帰は至上命題だったが、ジュビロの命運はプレーオフにに委ねられることが濃厚だ。
パスはつながらず、カウンターにさらされた水戸戦。
水戸戦は、そのわずか3日後の大敗だった。復帰以降も6試合ゴールから遠ざかっていた前田は試合をこう振り返った。
「3バックになったときは正直驚いた。これで戦うのは厳しいなと感じていた。北九州戦で4バックに戻ったので、ここでしっかり結果を出さなければいけないと思った。その試合ではポンポンとボールが繋がり、内容も結果もついてきた。
でも、その良いイメージが残ったまま、今日の試合を戦ってしまった。相手もグラウンドも違ったのに」
開始早々から激しいプレッシングをかける水戸の出足の良さに、磐田は圧倒されていた。9分に30mの直接FKを決められると防戦一方となり、1本もシュートを打てないまま前半が終了。後半立ち上がりの48分に追加点を許し、松井のゴールで1点を返したものの、80分、83分にゴールを奪われて試合の行方は決まってしまった。
4バックに戻したとはいえ、荒れたピッチでショートパスは繋がらない。セカンドボールをことごとく拾われ、ボールを失えばすぐさまカウンター攻撃にさらされる。なんとかボールを保持して敵陣へ攻めこんでも、サポートする選手がいない。攻撃陣は完全に孤立していた。
シーズンの3分の2が過ぎても、J2対策が浸透していない。
「なかなか攻められなかった。ロングボールを蹴られて、ルーズボールが拾えない。逆に水戸は、鈴木タカさん(隆行)が前線でうまく身体を張ってボールキープする。そこで押し上げていく、J2らしい戦い方だった。
それに対して、ぼくたちは自分たちの戦い方を考えないといけない。どういう風にしたら繋ぐことができるのか。ロングボールを蹴ってもルーズボールが拾えず、攻撃につなげられないのがぼくたちの課題。練習から、ボールキープとかポゼッションとか、ビルドアップのところをしっかりとやらないといけない」
松井は険しい口調でそう語った。すでにシーズンの3分の2が過ぎたというのに、いまだにJ2への対策がチームに浸透していないのだろうか?
「うん。J2っぽい戦い方に対しての、自分たちのサッカーを出来ていないから、この順位にいるし、苦しんでいるんだと思う。全員がそれを分からないといけないし、みんなが危機感を持って、もう少しやらないといけないかなと思う」