為末大の名言 

取り返しのつかない失敗ってあるんですね。今までは失敗しても、必ず次に取り返してきたし、失敗はのちの成功のためにあると信じてきたんですけど、取り返したくても出来ない失敗があることを、今回初めて知りました。

為末大(陸上)

「僕はこれまで、母国の競技場を満杯にして、大勢の観客の前で走りたいと考え、競技に注ぐのと同じくらいのエネルギーで陸上の普及活動もやってきたつもりです」という為末にとって、2007年の世界陸上大阪大会は恰好の舞台だった。400mハードルに出場する為末はメダルを確実視されてもいたが、開幕初日にまさかの予選落ち。「正直に言えば、1人になったときに真っ先に浮かんだのは、予選落ちしたことの言い訳でした。自分を正当化したいというか、負けた理由を作っておきたいと思ったんですよ。その時点でまだ、僕の中でプライドが残っていたんでしょうね。人間はどんな美しいことを言っても、極限状態になるとその人の本質が露呈されてしまう。僕の場合、それが言い訳でした」。ここまで冷静に自己分析できるアスリートも珍しい。

Number694号(2007/12/20)

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