野球善哉BACK NUMBER
大阪桐蔭4度の優勝にあった共通点。
「前年より弱い」という危機感が原点。
posted2014/08/25 18:55
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
これが大阪桐蔭の執念か。
すべての試合に先発した三重のエース・今井重太朗は言う。
「大事なところで甘くなったところを打ってきたし、いい試合ができましたけど、結局は強いチームだったなぁと思います」
2014年の甲子園決勝。試合を決めたのは、大阪桐蔭の主将・中村誠のバットだった。
1点ビハインドの7回裏2死満塁の場面で、しぶとくセンター前へ落とした。今大会、再三の好プレーを見せてきた三重の中堅手・長野勇斗が素早くダッシュしてボールに向かってダイブしたが、あと一歩及ばなかった。
9回表の守備でも、大阪桐蔭の執念は光った。
2死一、二塁で3番の宇都宮東真が放った打球は三遊間への遊撃ゴロ。大阪桐蔭の遊撃手・福田光輝がさばいて一塁へ送球したが、捕球が難しいワンバウンド送球になった。しかし、これを一塁手の正随優弥が倒れこむように救い上げた。
ここ一番の場面で適時打を放ち、ここ一番の場面で守る。
大阪桐蔭の執念がつかんだ優勝だった。
4季連続の甲子園出場が、春に途絶えた。
春・夏あわせて3度の全国制覇を誇る大阪桐蔭の強さを改めて感じる試合になったが、立ち上げ当初、現チームはこれほどの結果が期待されたチームではなかった。
2年前は藤浪晋太郎(阪神)を擁して春夏連覇。昨年は森友哉(西武)ら豊富な攻撃陣を誇り、この2世代が4季連続の甲子園出場を果たしたが、昨秋は府大会でコールド負けを喫して選抜には出場できず、連続出場はストップしていた。
当時を西谷浩一監督は、こう回想している。
「何と根性のないチームなのかと。相手に押されるとズルズルとなってしまって、相手としっかり組んだ戦いができない。これはかなり多くのことを教え込まないといけないと思った。かなりの危機感はありました」