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可夢偉、スパのシート喪失!
チームとの信頼関係は回復なるか? 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2014/08/23 10:50

可夢偉、スパのシート喪失!チームとの信頼関係は回復なるか?<Number Web> photograph by AFLO

前半戦11戦を終えた段階で、リタイヤ4回で決勝最高位は13位、獲得ポイントはゼロ。厳しいシーズンが続くが、後半戦の巻き返しはなるのか。

マシンにはすでにロッテラーのスポンサーのロゴが……。

 ドライバーがシーズン途中に交替することは、モータースポーツの世界では珍しくない。しかし、その発表は適切なタイミングでなければならない。モータースポーツは命がけのスポーツであり、ドライバーはチームを信用し命を懸けて走る“戦士”だからだ。したがって、その関係を解消するには、それに相応しい話し合いが行なわれ、双方が納得したうえで決定することが望ましい。

 ところがケータハムは、その重要な知らせを可夢偉が現地入りするまで伝えなかった。F1はスポーツであると同時に、大金が飛び交うビジネスでもある。今回、ロッテラーのマネージメントサイドは持参金を否定しているが、ロッテラーの個人スポンサーであるドリンクメーカーのロゴがすでにマシンに貼られていることからも、なんらかのお金の動きがあったことは想像できる。それは可夢偉も承知の上だった。

「チームがお金が必要なことは理解している。だから、金曜日のフリー走行で走れないグランプリがあっても僕は驚かない」と過去に語ったことがある。そして、こうも続けた。「もしもこの先、僕がレースシートを失うようなことがあったら、それはチームがF1をスポーツとしてではなく、ビジネスとしてやっていくと判断するとき。そうなったら、僕はこの世界に未練はない」

可夢偉が引用したダ・ヴィンチの言葉とは。

 コンストラクターズポイントで無得点のケータハムは、同じく無得点のザウバーとコンストラクターズ選手権10位の座を懸けて戦っている。夏休み明け初戦となったベルギーGPに、ケータハムは新型のノーズを持ち込んできた。しかし、今シーズンここまでマシンを開発してきた可夢偉を走らせないケータハムは、その新型のノーズの性能を正しく評価できるドライバーを自ら放棄したのである。

 ロッテラーが走るのは今回のベルギーGPの1戦だけで、それは彼が可夢偉より高く評価されたわけではないという証左でもある。したがって、次戦イタリアGP以降に可夢偉が復帰する可能性は高い。しかし、一度失った互いの信頼関係を復元するのは簡単ではないだろう。

 ベルギーGP不出場が決まった可夢偉は、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を引用して、現在の心境をこう表した。

「<距離を置いて作品を見るのも良い方法だ。なぜなら、そうすると作品が小さく見える。そうなるとより多くのことが一目で把握できる。調和や均衡が欠けていないか、色合いはどうかといったことが良くわかるのだ>うん。距離を置いて考えてみよう!」

 果たして、いま可夢偉の目にはケータハムはどのように映っているのだろうか。自分の未来を見つめ直す良い機会にしてほしい。

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