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変化を続けるUFC、3度目の日本大会。
近づく“格闘首都”アメリカとの距離。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2014/07/01 10:30

変化を続けるUFC、3度目の日本大会。近づく“格闘首都”アメリカとの距離。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

9.20UFC日本大会に参戦が発表された選手たち。左から五味隆典、マーク・ハント、ロイ・ネルソン、堀口恭司、中井りん。

はじめての女子マッチには、あの無敗選手が……。

 もう一つ、UFCの変化を感じさせるのは、日本大会で初めて女子マッチが行なわれることだ。2013年からUFCで女子の試合が行なわれるようになると、バンタム級王者ロンダ・ラウジーの圧倒的な実力とケンカ腰で相手を挑発する強烈な個性もあって人気が爆発。ラウジーはシルベスター・スタローンの最新作『エクスペンダブルズ3』にも出演を果たしている。

 日本大会で組まれたのは、ミーシャ・テイトvs.中井りんのバンタム級マッチだ。アジア人女子選手初のUFCファイターとなる中井は、2006年のデビュー以来、17戦して16勝1分と負けなし。パンクラスの女子王座を保持し、国際戦の経験も豊富だ。柔道と体操で培った運動能力、ぶ厚い筋肉、さらにブログやグラビアでセクシーショットを披露するなど、話題性の面でも日本屈指の存在と言っていい。

 対戦相手のテイトはランキング3位、タイトルマッチ経験もあるだけに中井にとって過去最強の敵だが、UFCのデイナ・ホワイト代表は「ナカイが勝てば世界中にその名が知られることになるよ。いずれ日本でも女子のタイトルマッチをやりたいね」と期待をかけている。

“修斗のカリスマ”佐藤ルミナも会見に出席した。

 この会見では、9.20日本大会以外の大きな発表もあった。UFCと日本のケージイベント・VTJの提携だ。VTJは“アメリカで、UFCで勝てる日本人の発掘と育成”をテーマに、修斗が中心となって開催されている大会。会見にはVTJを代表して、引退したばかりの“修斗のカリスマ”佐藤ルミナが出席した。

 UFCとVTJが計画しているのは、バンタム級とフェザー級のトーナメント。優勝者にはUFCとの契約が待っている。正式発表ではなかったが、このトーナメントや出場選手のドキュメンタリーが地上波テレビ局で放送されるそうだ。

【次ページ】 日本での試合がUFCに“直結”する意味。

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